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なにもそこまでさせていただかなくても。

「動くな!!させていただく警察だ!」

僕が勤める会社ではいわゆる朝礼的なミーティングがある。今の会社は転職して入ったので後から知ったのだが、この朝礼ミーティングの司会は新卒で入った新人たちが持ち回りで担当しているらしい。大変だ。

最近、新人たちが社内のちょっとした業務をリニューアルする仕事を任されているらしく、朝礼ミーティングでちょくちょく話す番が回ってくる。彼ら彼女らは緊張の面持ちで口を開く。

「それでは◯◯の件について私から話させていただきます……」

ピピーッ!! 動くな!させていただく警察だ!

僕はこの「させていただく」が引っかかってしまうときがよくある。相手を敬って、自分を謙っている表現なので使い方としては間違っていない。でも、なんかモヤモヤする。

「させていただきます」を使うときの僕の脳内はこんな感じだ。

はあああああああ~~~~私がこれをやってもよいのですかあああああ~~~いやはやいやはや有難き幸せなことこの上ないでございますうううううううううううううう……

全身全霊で相手への敬意を表現するつもりで使うことにしている。

その代わり、本当に有り難いなと思うときにしか使わない。言葉は悪いかもしれないが、仕事の普段のやり取りでは使わないって決めている。資料を受け取ったくらいで「読ませていただかない」し、仕事を割り振られたくらいでは「やらせていただかない」のだ。伝家の宝刀はなかなか使われないからレア感が際立つ。

「させていただきます」が便利なのはものすごく分かる。どの動作に付けてもそこまで違和感ないし、言い回しもあまり変わらないから難しく考えなくても使える。ものすごく便利だと思う。

けれども、敬語って強弱があるからこそ本当に敬意を示したいときの気持ちが表現できるものなのでは。敬語にも緩急があって、力を入れるときとそうじゃないときがあるものなんじゃないかと、そんなことばかり考えている。

そういえば、新卒のときは敬語が好きではなかった。誰にどう使って、どんな言葉遣いをすればいいか、緊張が先走ってそこまで考える余裕がなかったのだ。新卒の彼ら彼女らも同じなのかもしれない。させていただく警察にはいったん帰ってもらうとしよう。


今日はそんなことを書かせていただきました。

おやすみ

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