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「”恐怖”とも戦いながらやりたい」投球もコメントも頼もしくなった小川一平【3/26 対ヤクルト戦●】

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、長らくスタジアムが満員にならなかった。空席ばかり目立つスタジアムは素直に物寂しいなと思ったし、中継を見ていても観客のリアクションが少なくて、今までとは変わってしまったなと感じるようになってしまった。
これだけ観客制限が続いていると、そもそも満員の球場でプレーしたことがない選手も一定数存在している。プロ入り3年目の小川一平もそのひとりだ。2019年のドラフトで東海大学九州キャンパスから6位指名。西純矢や及川雅貴を指名したタイガースがこの年最後に指名した選手だ。

小川がプロとしての第1歩を踏み出したのも、今日と同じシーズン2試合目だった。岩貞祐太の後を受けて2番手で登板した。この日はまだ無観客試合だった。リリーフ・小川は先頭のヒットを皮切りになんと5失点。2アウトを取ったところで交代を告げられた。緊張でいっぱいだった表情から焦りが増え、小川の顔がどんどん真っ青になっていった。試合は大敗した。

あれから2年、小川は再び開幕2戦目に登板した。あの日とは違って、先発としてマウンドに立つ。公式戦初先発が、プロのキャリアをスタートさせた開幕2戦目にやってくるなんて、運命のいたずらか。

「満員のお客さんの中でやったことがない。ワクワクもありますし、球場が揺れるというのも聞いている。そういう恐怖とも戦いながらやりたい」

登板日前日にアップされたニュースには、取材に応じた小川のコメントが載っていた。2年前はプロの怖さをまじまじと思い知らされた小川。コメントが頼もしかった。

小川は初回、2回と続けてスワローズ打線を三者凡退に切った。リリーフのときは力強いストレートとフォークを織り交ぜていたけれど、この日の小川は変化球を巧みに操っていた。140キロ中盤のカットボールは低めに制球されて、投手有利のカウントを作っていく。打者の狙いを散らすために投じていたカーブも有効だった。
入団後に受けたとあるインタビューで「憧れは山崎康晃投手。にストレートと1つの変化球で勝負できるようになりたい」と言っていた小川が、複数の変化球で的を絞らせていなかった。

高橋遥人やJ.ガンケルらが順調だったら、この日の先発マウンドに立っていなかったかもしれない男が、スワローズ打線を5回まで0点に抑えた。前日の負けもあって重圧もあったかもしれない。でも小川は退かなかった。逃げなかった。頼もしかった。

打線の援護がない中投げ続けた小川は、6回に先制を許した。
小川のプロ初先発は6回途中、107球で幕を閉じた。

1010小川_01 (2)

昨年の日本一チーム相手にナイスピッチ。
すごかったよ。

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