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井上広大の変化【2/26 対ファイターズ戦●】

プロ4年目を迎えた井上広大(こうた)は1軍の春季キャンプに抜擢された。西純矢と同じ年のドラフト2位で入団した大砲候補だ。だがキャンプのはじめ、井上は決して目立った存在ではなかった。毎日きっちりキャンプの様子を見ていた訳ではないけれど、打撃練習では強くスイングした打球がファウルゾーンに飛んでいる様子をよく見た気がする。
紅白戦ではヒットこそ出ていたが、分かりやすいミスショットもあって「それを仕留められたら……!!」ともどかしい気持ちにもなった。もともと飛ばす力はチームでも1番2番を争う選手だから、なおさらだ。1打席のなかで甘いコースのボールは1球来るか来ないか、なんて話もある。その1球を逃さず打てるかどうか、打線の中軸を担うなら大事なことだ。4番を打つ大山悠輔は去年のシーズンから甘く入ってきたボールを確実に仕留めた打席が増えてきた。

キャンプの後半、井上が変わったような気がした。打撃練習では相変わらず力強い打球を飛ばしていたが、キャンプ前半よりしっかり確実に仕留められていた。何か掴んだのかもしれない。

何というか、人ってこんな短期間で劇的に変わるものなのか。

ファイターズのキャンプ地で行われたオープン戦。前の練習試合で本塁打を放っていた井上がスタメンに抜擢されたのは、ある種当然のことだ。5回の攻撃、井上に打席が回ってきた。ファイターズの投手は有望株の根本悠楓から井口和朋に代わっている。井口は変化球で簡単に井上を追い込んだ。4球目の投じられた直球、井上のバットから乾いた音がした。
打球はぐんぐん伸びて、移籍した江越大賀の上を超えていった。

沖縄でのラストゲームを締めるに相応しい1発は、数日前に行われた練習試合同様、追い込まれていてからのストレートを仕留めたものだった。練習でやれていたことが、結果として現れた。

春季キャンプが始まる前、今年の外野のレギュラー候補に井上の名前を挙げる人はほとんどいなかった。新人の森下翔太や昨年ブレイクの気配を見せた前川右京、新加入のS.ノイジーの名前が候補に挙がっていた。だが今やどうだろう。この1ヶ月のアピールで、外野勢の立ち位置は間違いなく変わった。

2023年のシーズン開幕戦まで、あと1ヶ月。それまで、それまで走り抜けようぜ。今の井上に、2軍の舞台は似合わないよ。


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