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失敗したあとの勇気【7/17 対中日戦○】

7月14日、体を再び痛めたJ.マルテの代わりに陽川が1軍に昇格した。
本職は1,3塁だが、複数ポジションを守れる器用な選手だ。春季キャンプ中に2軍でクラスターが発生したときは練習試合で2塁を守った。

昨日の試合で、陽川は7番・レフトでスタメン出場した。今季3度目のスタメン起用。だが陽川は自らの守備の綻びで相手に先制点を献上してしまう。レフト線を転がる打球の処理。外野の端にまで到達した打球が、フェンスの境目に当たって方向が変わった。打球が陽川の股下を抜ける。
処理に手間取るあいだに、走者が生還した。
この日の陽川は2安打を放ったけど、守備のプレーが際立つ結果になってしまった。



自らのミスで先制を許した日から一夜明けて、この日の陽川はファーストの守備固めで出場した。
先発のJ.ガンケルは好投を続けていたが、8回にピンチを迎えた。0アウト1,2塁。点差は2点。同点のランナーを出した。ドラゴンズのバッターは送りバントの構えをしている。走者を進められれば同点の危機だ。

バントした打球はピッチャーの少し横に転がった。ガンケルが処理をする間もなく、ファーストから猛ダッシュしてくる陽川が見えた。前に突っ込んでくる勢いのまま捕球し、流れるように3塁へボールを送る。3塁を狙う走者より先にボールが到達した。

陽川の好守備。
ボールの転がった先をイメージしながら準備していた陽川がピンチの芽を摘み取った。
好守備に応えるようにして、ガンケルはこのピンチを無失点でしのいだ。

変わらず2点差で迎えた最終回。クローザーの岩崎優が先頭打者をヒットで出した。
0アウト1塁。バッターは木下拓哉。
打球が岩崎の前で弾んだ。すかさず2塁に送り1アウト。だが1塁への送球が少し低くなった。送球がファーストミットに収まる前にバウンドする。陽川はボールの勢いを受け流しつつ、自らのミットに収めた。1-4-3のダブルプレー成立。アウトにできず走者が残っていたらどうなっていたか。もしボールが陽川の後ろに逸れていたら……。
陽川の好守が、またしてもチームを救った。

成功しても失敗しても、次の試合はやってくる。監督が選手の名前を審判に告げれば、バットやグラブを持ってグラウンドに駆け出していかなければいけない。失敗の傷を癒やしている暇なんてない。分かってはいるけれど、大変な世界だ。

8回の守り、打球に猛チャージをかけた陽川の脳裏に「もし失敗したら」という気持ちは微塵もなかったのかもしれない。そうでなければ、あの思い切ったプレーはできなかったはずだ。
ミスした事実を覆すことはできない。
けれども目の前の試合の勝敗なら。明日のプレーなら。

7月17日は陽川の31歳の誕生日。彼にとって良い1年になりますように。


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