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「こんな日もある」って考え方が僕らを楽にさせてくれる【8/17 対カープ戦●】

1勝1敗で迎えたカード3戦目は、カープの先発・床田寛樹がタイガース打線を寄せ付けることなく完封勝利を収めた。
もう少しで床田から点を取れそうなシーンもあったけれど、そんなときに限ってことごとくセカンドの菊池涼介が好守備で立ちはだかった。こちらの守備の間に大粒の雨が降って30分近く試合が中断するハードラックもあった。

翌日、現役を引退して評論家になった糸井嘉男は試合をこのように評した。

「完封負け…そら、こんな日もあります」

こんな日もある。その言葉1つで気分がすーっと楽になった。

どれだけこちらが準備をして、できる限りのベストを尽くしたとしても、勝負に負けるときは負ける。相手がいる以上、こちらの思うとおりにならないのが勝負事だ。
しかもプロ野球はこの勝負事が週6日あって、それが何ヶ月の間も続く。いちいち深く考えている時間があったら明日に向けてベストを尽くそうと切り替えるのが糸井なりの流儀なのだろう。現役生活を長くやってきた糸井だからこそ説得力があるし、思わず納得してしまう。
そう、ペナントレースは長い。
全勝はできないし、こんな試合の日もあるのだ。
勝敗に一喜一憂するだけのファンである僕らは、それくらいの受け止め方で良いと思う。

糸井の評論はいつも視線が選手の方向へ向いている。スポーツ紙の評論を読むのは僕らファンだから、試合の問題点を指摘してファンの人が「よくぞ言ってくれた!」って思える内容にすることもできるし、実際そんな風に評論している人も少なくない。
糸井にとってタイガースは評論の対象ではなく、一緒に戦った仲間たちなのだろう。だからコメントも選手に寄り添ったものになる。

「輝ちゃん(佐藤輝明)は決して打つポイントは悪くないんですよ」
「スタメン落ちが続くけど、これも日々成長するための勉強やで!」


2つ目のコメントなんて、まるで横にいる佐藤輝に向けて語りかけているようだ。糸井が仲間のために素直な気持ちを書いてくれていることが、何より嬉しい。

「阪神にはアレへのマジックが点灯しています。僕もファイターズで経験しましたが、選手らは変に意識せず、自信を持って今まで通りの野球をすればいいんです」

きっと2年前の糸井も同じように選手たちへこう呼びかけていたのだろう。優勝マジックこそ点灯しなかったが、あのときのタイガースは今と同じように優勝争いをしていた。「いつも通り、自信を持って」。あの年は結局優勝できなかったけれど、糸井の言っていることは間違っていないはずだ。

もうユニフォームを着てプレーするところは見られないけれど、今はこうしてグラウンドの外からあったかいエールを送ってくれる。糸井がその気持ちを持ち続けてくれる限り、糸井だって立派なタイガースの一員だ。


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