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井上広大 君の放物線は皆の希望【3/5 対バファローズ戦●】

甲子園球場に、鳴り物と声援が戻ってきた。応援団がリードするトランペットもそうだけれど、人の声で作られる選手へのコール。甲子園球場は去年までスピーカー応援をしていたから、あらかじめ録音した声が流れていたけれど、今日の声援はなんというか、「生きている」って感じがした。

「井上!井上!井上!!」

生きた声のコールを井上広大が浴びるなんて、感無量だ。

甲子園の座席で写真を撮っていた。バットとボールが衝突して、ものすごい音が響いた。井上の打球は目で追わなかった。
打球の行方どころじゃない。バットを振り切った後の井上の様子を見ていたい。どうしてそう思ったのか、今思い返しても上手く説明がつかない。けれども、一時たりとも見逃してなるものか、って気持ちになった。
グラウンドの奥に見えるお客さんのリアクションと、塁間を走るスピードを緩めた井上の姿で、スタンドインしたことを確信した。

1塁、2塁、3塁、そして本塁。4つのベースをゆっくり回る。甲子園じゅうのお客さんが、井上のことを見ている。スラッガーだけに許される時間。タマスタ筑後では見たことあったけれど、やっと、やっと甲子園で見られた。
今日も2ストライクと追い込まれてから打てたとか、ストレートを仕留めきれたとか、ホームランのすごかったところはいくらでもある。

けれども、井上の活躍を喜ぶチームメイトやコーチたちの笑顔がこのホームランのすごさや嬉しさを表しているような気がして、むしろ書きすぎないほうが良いんじゃないかって思った。

2023年シーズン、お客さんの声とトランペットが戻ってきた甲子園球場に1番最初にアーチを架けたのは、プロ4年目の井上広大でした。

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