![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111424424/rectangle_large_type_2_b3d645c5db7c50d2b16457abd8083b00.png?width=800)
『水星の魔女』とは何だったのか(ネタバレ含む)
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』とは、『機動戦士ガンダム』シリーズの周知・広報用アニメである。
…異論はあるだろう(というか、あって然るべきである)が、筆者の結論は以上のとおりである。
『ガンダム』シリーズは半世紀近い歴史を持ち、それ故にシリーズが肥大化している。
「興味はあるけど、今から見るのはハードルが高い」…よく聞く台詞である。
そこで、「女性主人公」「学園もの」「百合展開」という目を引く要素で新規層を開拓し、その中に過去作の要素を入れることで、過去のシリーズも見てもらおうという、いわば「逆流現象」を狙ったのではないだろうか(実際、『水星の魔女』から過去作を見始めた方は結構いるようであるから、狙いどおりになったと言えるだろう。)。
とは言え、過去作の要素をちりばめたとしても、宣伝をしなければそれがどの作品なのか伝わらない。
そこで利用したのが、オタクではないかと思う。
オタクという人種は、基本的には自分の考察や知識を語りたがる(誰に頼まれずとも。)。
それっぽい要素を入れておき、公式に明言しなければ、あとはオタクが勝手に発信してくれるという寸法である。
SNSで調べると、考察をしている方はやはり結構いるので、こちらも狙いどおりだろう。
こう語るこの記事も、制作サイドの意図に沿ったものということになる。くそう、やられたぜ。
まあ、これはあくまで筆者の想像であり、どこまで意図しているのかは分からない。
ただ、狙ってやっているのであれば、かなり賢い。
制作サイドは、その点において広報する必要はない。
オタクは、自分の考察を語って嬉しい。
新規層は、『水星の魔女』を調べるだけで、過去作の要素をインプットできる。
誰一人損をしていない。みんなハッピーである。
『水星の魔女』は、外伝小説や漫画は展開されているが、今までのシリーズから独立した単独の作品である。
「『ガンダム』って何から見れば良いの?」という疑問に対する回答として、『水星の魔女』は有力な候補だろう。最新作だから絵も綺麗だし。
個人的には、両手を挙げて「名作!」と評することは出来ないが、『ガンダム』シリーズの入門としては、これ以上ない作品であると思う(心情としては、やはり『機動戦士ガンダム』から見て欲しいところではあるが、絵の古さが受け入れられない可能性がある。)。
さて、以下において、筆者が想起した過去作要素を記載する。
当然、どこまで意図されたものかは分からないため、一意見として御覧いただければと思う。
●決闘システム → ガンダムファイト(『機動武闘伝Gガンダム』)
●地球の方が地位が低い世界観 → 未来世紀(『機動武闘伝Gガンダム』)
●干渉型毒親 → フリット・アスノ(『機動戦士ガンダムAGE』)
●強化人士4号 → フォウ・ムラサメ(『機動戦士Zガンダム』)、(強化人士全体として)ミーア・キャンベル(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』)
●虐げられていた者が立ち上げた組織”株式会社ガンダム” → 鉄華団(『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』)
●敵のビット兵器を乗っ取るエアリアル → ユニコーンガンダム又はネオジオング(『機動戦士ガンダムUC』)
●ガンダム型ガンビット”ガンヴォルヴァ” → GXビット(『機動新世紀ガンダムX』)
●エリクトが宿るエアリアル → EXAMシステム(『機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINY』)、ユニコーンガンダム3号機”フェネクス”(『機動戦士ガンダムNT』)
●クワイエット・ゼロ → エンジェル・ハイロゥ(『機動戦士Vガンダム』)
●極太レーザーから拠点を守るエアリアル → コロニーレーザーを防ぐユニコーンガンダム(『機動戦士ガンダムUC』)
●本来は兵器ではない↑の極太レーザー → ジェネシス(『機動戦士ガンダムSEED』)
●パーメットに変換され消失するクワイエット・ゼロ → 量子化(『機動戦士ガンダム00』)
●スレッタ・マーキュリー → (出自的に)アフランシ・シャア(『ガイア・ギア』)、(性格及び肌の色的に)ロラン・セアック(『∀ガンダム』)
また、プロローグにおいて、
●敵を撃墜するエリクトを見るエルノラ → 「この子に人殺しをさせてしまうわ」(『機動戦士ガンダムSEED STARGAZER』)
なお、スレッタとグエルのフェンシングは「『機動戦士ガンダム』のアムロとシャアのオマージュではないか」という意見がままあったようであるが、状況が違い過ぎるため、個人的にはそのように感じなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?