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おじいちゃん部|#完成された物語

最近、公民館の予約表に『おじいちゃん部』がよく登場する。

「何かしら、おじいちゃん部って。老人会の男性版?」

私は気になって部屋をそっと覗いてみることにした。

すると、当然というべきかおじいちゃんたちが居座っており、映画を見ながらガヤガヤとしていた。

「映画好きの集まりだったのね」

そう納得して立ち去ろうとすると聞き覚えのある声が耳に入る。夫の声だ。

そして視線を戻すと夫がタバコを咥えている。

「あんた!医者から止められてるでしょ!」

「お、お前……これは違うんだ」

その後に夫から聞いた話によると、どうやらこの会は映画の老人役に憧れる人達の集まりで、いわゆる俳優の真似事・・・・・・をしていたらしい。

タバコも臨場感を出すために口に咥えていただけとのこと。

「おじいちゃん部、名前の割に若々しいわねぇ」

「今度の休みは二人で久しぶりに映画を見に行くのもいいかしら」

そんなことを考えつつ、私はいつものように夕飯を作りながら夫の帰りを待つのだった。


あとがき

限界にせまる409字でした。

他の方のお題に取り組んでみて初めて分かりましたが、これ冒頭文が限定されるだけでとんでもなく難しいですね(笑)

しかし、この難しいパズルを解くような感覚が心地よくも感じます。

#小説 #ショートショート #物語の欠片  #完成された物語 


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