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昆虫たちの世界|#完成された物語

それは嵐の夜のことだった。

僕とシンはボスの座を継ぐための度胸試しをすることになっていた。

「あの赤い花・・・まで先に到着した方の勝ちだ……いけ!」

ボスのその言葉が合図となり、僕らは一斉に飛び出した。

嵐の中の飛行は困難を極めた。

先にしくじったのは僕だった。木の枝に衝突して羽を痛めたのだ。

シンはその事に気づいていたのだろうか。

その後、花に辿り着いたシンを待っていたのは死だった。赤い花・・・は罠だったのだ。

戻った僕に対してボスはそう明かした。

「上に立つものに求められるのは力や度胸だけじゃねぇ……どうであれ、俺の後を継ぐのはお前だ」

そうして僕は新たなボスになった。

そう、これは僕の昔話だ……え、気に入らないって?

やれやれ『蓼食う虫も好き好き』というのは君たちの言葉だろう?それとも今の状況が不満なのかな?

でも、安心しなよ。僕らは君たちのように遊びで命を奪わないさ。

この戦争の勝敗を分けたものがあるとすれば、そこじゃないかな。



あとがき

407字でした。

『発想』からショートショートを完成させるというのがいかに難しいものなのかを思い知らされました……私にとっては『タイトル』と『冒頭文』が固定されるよりも難しいと感じたかもしれません。

しかしながら、あらためて410字というのは短いですね……いろいろ厳しく感じます。

#小説 #ショートショート #物語の欠片  #完成された物語 

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