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41夜 みんな今後の見通しを求めているんだけど

 巷では,相変わらず政治資金パーティーの問題が新聞の一面をにぎわせている.政治資金規正法やら選挙制度改革やら改革しなければいけないと言われている制度は多いようだが,この話いつかどこかで聞いたことがあるような.かなり昔にあったリクルート事件や,その後あたりにさかんになった政治改革のなかで比例代表制への批判から現在の小選挙区制度に変わった制度改革など,現在のところ日本の中心でやっていることは,まるで90年代のリバイバル上映のように感じる.個人的には恐ろしく進歩のない状況のように思うが,なにより残念なのは本来あるべき国会での議論が,なんとも残念な問題での議論に終始してしまうことだ.多分,このままずるずると倫理審査会ではだめで,喚問招致へと進み,なんだかなあという状況でメディアの関心疲れであったり別のニュースによって,私たちの耳目から遠ざかっていくことになるのだろう.そうして,本当に国会で大切な,予算や教育の議論が中途半端なまま国会が閉幕するのだろう.国民のひとりとして,なんだかなあ,という思いは募るばかりである.
 この話題と同時に,少子化対策への財源は国民ひとりあたり500円弱という話がでている.政府によるとこれは財政改革と所得増加で実質負担はないとの事なのだそうな.具体的には,全ての子育て世帯へ,0歳から3歳未満は月額15,000円,3歳から高校生までは月額10,000円を給付し,多子世帯では第3子以降に対して月額3万円を給付するらしい(ほかにもいろいろあるようだがここでは割愛する).
 私たちの所得と税金とのかかわりを示す指標のひとつとして「国民負担率」というものがあるようだ.NHKのサイトにあるサクサク経済Q&A(https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/20200302/290/)

によると「国民負担率」は、個人や企業の所得に占める、税金や、年金・健康保険・介護保険など社会保険料の負担の割合を示すものとの事.詳しい内容はいろいろなサイトにあるので検索していただければよいが、令和5年2月21日に財務省が公表したこの数値が46.8%になるらしい.さらに,国民負担に財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は、53.9%となる見通しのようだ.その内訳(対所得比)は,国税や地方税負担が28.1%,社会保障費負担が18.7%,財政赤字負担が7.1%になる(国民負担率の推移,
https://chrome.google.com/webstore/category/app/69-office-applications?hl=ja)

 この国民負担率は1970年に24.3%,1989年に37.9%というように,だいたい増加を続けている.税負担や財政赤字負担率は年度ごとに増減があったりするが,社会保障費負担率はずっと増加を続けている.少子高齢化を鑑みれば,至極当然ということだろう.世界的にこの数値を比較することは結構大変らしいのだが,多くのサイトで見る限り,日本の国民負担率は,まあ普通のようで,70%を超える国もあるようだ.
 当然だが,国民所得が増えればこの数値は下がるわけで,問題は,実質的な国民所得が上がっていないことと,今後の社会保険料率に対する見通しがないということだろう.以前,財政赤字に関して「100年安心」というようなキャッチフレーズで徴収の展開を図った時期があったり,介護保険の導入に関して,いろいろと耳障りのよい言葉が並んだ時期があったりした.べつに、これらの負担を否定しているわけではなく,将来にわたり必要な経費はこの国に暮らす国民の一人として,負担を背負う義務があると考える.
 しかし,将来にわたっていつの段階で何をどれくらい負担する必要があるのかという見通しが見えていない(少なくとも筆者には見えない)という実情が,個人消費やら国内経済の停滞を引き起こしているのではないだろうか.北欧のような高福祉高負担の国々は,負担は大きいがリターンとして享受できる福祉が充実している実感が国民にあるからこそ,負担を受け入れているわけで,この国のように,いつの間にか負担率が5割を超えてしまっているのに,なんか福祉享受が得られていないなあという感覚をなんとかしないと,子育て世代にいくらかのお金をばらまいたからといって,出生率改善とはいかないだろうし、誰でも将来に備えて貯金や資産運用ということないなるはずだ.
 大切なのは,事実を事実として正確に明らかにしたうえで,国の将来設計に関して,耳障りのよいことばかりではなく,耳障りのよくない政策もすすんで明らかにすることで,みんなが将来にわたる見通しをもてるようになることなのだと思うのだか.なんだかなあ.

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