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アロマはいいねえ

少し前からアロマを始めた。

アロマを"始めた"と言っていいのだろうか?僕は単純にアロマストーンとそれに垂らすアロマオイル(というかエッセンシャルオイル)を手に入れただけで、 別に市役所にアロマ始めます申請書を提出したわけでも、そのためにマイナンバーを誰かのスタッフに差し出したわけでもないのに、ふたを開けてオイルを一滴注いだ瞬間からアロマを始めたことになるのがなんだか不思議だ。

初めはバニラ味(味…?)を買った。檸檬の匂いがするストーンの上に垂らしたものだから、すごいレモンケーキみたいな香りがする。とてもハッピーだ。子供鼻だから、いまだにあまいものに目がない。昔に理科の授業で、アンモニアとか刺激臭がするものを嗅ぐときは、手で扇いで匂いを嗅ぎましょうというのを習って、それをずっとアロマにも実践している。なんか、こわいから。

色々試してみようと思って、色々な匂いが10mlずつ詰め合わされてるものを注文してみた。ところが、いざふたを開けて匂いを嗅いでみると、みんな、なんだかくさい。ラベンダーもユーカリも等しくくさい。くさいというか渋い。雑草のエキスを10倍濃縮したみたいな香り。確かになんっか嗅いだことあるなーって感じの香りはしたけれど、いやあ、こんな匂いだったかなあっていう気もする。
使い方が悪いのか、品質が悪いのか。たぶん使い方が悪いのだと思うけれど、鼻血が出そうなくらい嗅いでも同じ感想しか出てこない。私は悲しい。
でもスイートオレンジはよかった。

結局その中にあったスイートオレンジを気に入って、今はバニラと併用している。いい香り。僕はいい匂いが好きだし、いい匂いが好きだと、いい匂いを好きな自分も好きになれるような気がした。試しにどっかで聞いた、ハンカチに注ぐというやつをやってみた。一、二滴をちょんとつけると、使うたびに匂いが広がるらしい。

注いだ瞬間から、折っててもハンカチ全体からそういう匂いがするようになるのかなと思ってたけど、意外と最初に垂らした場所以上に匂いが広がることはなかった。だから時折、火災で口元を覆うようにハンカチを口元鼻元に持ってきて、すーーーっと息を吸う。いい匂い。甘い匂い。でもなんだかんだでハンカチがホコリにまみれてるから一息吸う度に体調がどんどん悪くなる。喉が、イガイガする。苦しい!もう金輪際しない。

漠然とした息苦しさから解放されたと思ってアロマを使っていたのに、気づいたらかえって息苦しくなってた。あきらめて窓を開けると、ぬるい風が、むわっと、身体を包んで、耳の傍から通り抜けた。息を深く吸ってみると、それは甘くもなく、辛くもなく、苦くもない。この匂いを表すためだけに作られた単語は、あるのだろうか。

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