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訪問介護の事業所数、今年度も微増傾向が続く 上半期で200ヵ所増 厚労省統計・・・という記事の紹介です。


訪問介護の事業所数はこれまで緩やかに増加してきているが、その傾向は少なくとも今年度の上半期までは変わっていない。今後、基本報酬が引き下げとなる4月の報酬改定がどう影響するか注目が集まる。【Joint編集部】

JOINT

訪問介護事業所の倒産・休止件数が過去最高を記録したニュースが出ていましたが、その一方で事業所数は増加傾向にあるという事です。

2023年の「訪問介護事業者」の倒産が12月15日までに60件に達し、これまで年間最多だった2019年の58件を抜き、年間最多を更新したことがわかった。調査を開始した2000年以降、最多を更新したのは4年ぶり。訪問介護事業は、小・零細事業者が多いが、ヘルパー不足や物価高、大手企業との競合の影響も大きく、業歴20年以上の事業者の倒産も目立った。

東京商工リサーチ

介護保険の給付費の動向などを明らかにする国の統計によると、昨年10月審査分(昨年9月サービス分)の訪問介護の請求事業所数は3万5252件。昨年4月審査分(昨年3月サービス分)が3万5050件だったため、今年度上半期で202件増えたことになる。

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時期はズレますが、倒産60件で増加が202件という事ですから、140件くらい純増しているという事になりますね。

これ、都市部で増えてるのかなぁ・・・。
少なくとも北海道の地方部では増えるどころか減る一方のような気もします。

たとえば当事業所のサービス提供エリア内で見ると、当事業所が新規立ち上げで1事業所増えてますが、2023年度中に休止・縮小で2事業所がサービス提供から撤退しますので、この地域だけでも-1件になります。

JOINT

グラフで見ると2017年~2019年の間は減少傾向でしたが、2020年以降は増加傾向に転じています。

ケアニュースより抜粋

2019年度は、介護保険制度改正で訪問介護の基本報酬がアップしてましたね。

2019年10月改定の概要

■介護報酬全体の改定率
介護報酬全体の改定率は +2.13%

■主な改定内容
(1)新しい経済政策パッケージに基づく介護職員の更なる処遇改善(介護職員等特定処遇改善加算の創設)(改定率換算+1.67%)
  経験・技能のある介護職員において「月額8万円」の改善又は「役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)」を設定・確保。リーダー級の介護職員について他産業と遜色のない賃金水準の実現
(2)消費税率引上げにあわせた介護報酬等に係る消費税への補てん(改定率+0.39%)
(3)区分支給限度基準額の引上げ
(4)低所得者の食費・居住費の負担軽減(補足給付)の引上げ(改定率+0.06%

ケアニュース

特定処遇改善加算が出来た時でしたね、今後のリーダー等に希望をもってもらえたり、若手にも経験を積めば将来ああなれるんだなぁ、という道筋を示すにも良い加算だと思ったのですが、結局は不公平だの加算の趣旨を理解してない人の反発があまりに多すぎて骨抜きになりましたね。

基本報酬が上がった事で経営的にも安定できる見込みが出来たので事業所が増加傾向に転じたようにも思いますが、今回の2024年度の改正では、訪問介護については、この時期の報酬アップを帳消しにして更にマイナスにする内容でしたので、もしかしたら事業所数は2017年~2019年の間と同じような減少傾向になるかもしれませんね。

訪問介護の事業所数が増える背景には、高齢化に伴う在宅介護のニーズの拡大があるとみられる。

ただ、深刻なホームヘルパー不足などでサービスの提供量がニーズに追いつかないのが実情。現場の関係者からは、4月の基本報酬の引き下げがそれに拍車をかけると懸念する声が多くあがっている。

JOINT

ニーズが拡大するので事業所数自体が増加傾向にあるのは良いと思うのですが、自分が見ている地域の目線で見ると全くその実感が持てないので、もしかしたら都市部の施設併設の利益率が高い地域に出ない併設事業所が増えているのかもしれません。
だとすると、ほとんどニーズに対応している事にならないので問題は深刻になっていきそうな気もしますが、今回の報酬改正では、そういう併設の事業所での減算が強化されたので、地域にある程度出ていかない事には併設事業所は減収になるので、そのあたりどの程度の効果があるのかは見ていきたい所です。

もう少し掘り下げたいと思ったので、こちらの記事も紹介です。

2023年2月の記事ですので、1年前の内容ですが状況はほとんど同じだと思うので参考になると思いました。

介護事業所数が増えている要因の一つは、高齢者数・要介護者数の増加にともなう端的な訪問介護へのニーズ増大です。

厚生労働省の「介護給付費実態統計」にょると、訪問介護の年間実受給者数は、2018年度が145万6,700人、2019年度が146万1,900人、2020年度が147万7,300人、2021年度が153万200人。2018年度から2021年度の4年間だけで7万人以上も増えています。

みんなの介護
みんなの介護より

2021年の訪問介護の受給者数(1530200人)と2021年の事業所数(33750事業所)を単純に計算すると、1事業所あたりの利用者数は、およそ45人となります。

当事業所(職員数(常勤換算)3.5人)で満足に利益を出そうと思うと、80~100人でギリギリですので、ちょっとおかしな事になります。

考えられるのは、少ない利用者数で訪問回数を増やしている場合かなぁ。

たとえば当事業所では、一人あたりの利用回数は、週1回や週2回がほとんどです。
80人の利用者さんで、月延べ訪問回数は約420件くらいなので、一人当たり月の訪問回数は5回くらいが平均なんですけど、例えば45件で400件くらい達成しようと思うと月9回くらいの訪問回数が必要になります。

ただ、業界全体でそういう感じではないと思いますので、おそらく一部の囲い込みの事業者が数字を引き上げているものと思います。

一方、訪問介護事業所の増加の背景には、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)や住宅型有料老人ホームに併設されることで増えていることも要因として指摘されています。

サ高住や住宅型有料老人ホームでは、介護サービスは施設側によっては直接提供されません。介護職から食事・入浴・排泄の介助などのケアを受けるには、自宅の場合と同じく、訪問介護などの在宅向けサービスを利用する必要があります。

そして多くの施設では、契約・利用がしやすいように、同じ建物内に訪問介護事業所を併設しています。サ高住、住宅型ともに年々施設数は増えており、それに合わせて併設型の訪問介護事業所も増加するわけです。

しかし、そうした併設型の一部の事業所では「囲い込み」が行われているとの指摘もあります。囲い込みとは、サ高住・住宅型有料老人ホームの要介護の入居者に、区分支給限度額ぎりぎりまで併設の訪問介護のサービス利用をさせることです。

区分支給限度額は「この金額までのサービス利用であれば保険適用されます」という上限のことで、要介護認定の段階ごとに定められています。介護保険サービスの利用は、当然ですが無理に限度額ギリギリまで利用する必要はありません。

ところが「囲い込み」をしている事業者は、施設内に併設されている同じ系列の訪問介護事業所を限度額ギリギリまで入居者に利用させることで、不当に利益を得ているのです。この場合、ケアプランを作成するのも同じ系列の居宅介護支援事業所です。

現在、厚生労働省はこのようなケアプラン策定を止めさせるように自治体に警告しています。2021年の事務連絡では、自治体に「基準」を設けるよう指示もしました。その「基準」よりも多くのサービス利用を求める場合、地域ケア会議に呼び出されて説明が必要となる、という内容です。「基準」の具体的な数値は自治体が決めてよいとされています。

しかしこうした規定を設けても、新たな「基準」に合わせての囲い込みもできるでしょう。もちろん、訪問介護事業所併設型のサ高住や住宅型有料老人ホームの大半は健全に運営されていますが、一部囲い込みをしている施設があり、業界として問題を抱えているのが現状なのです。

みんなの介護

詳細でわかりやすかったので長いですが転載しました。

本当に一部の業者で囲い込みが行われていて、僕自身もそういうケースを見てきました。

こういう指摘がされてきたにも関わらず、是正されなかったので今回のような報酬改定でマイナス評価になったのだと思いますので、訪問介護業界全体の問題だと思います。

訪問介護は事業所数が増えていますが、その一方で1事業所あたりの常勤数がその増加に追い付いていないという事実があります。

厚生労働省が3年ごとに行っている「介護事業経営実態調査」によれば、2014年度時点における訪問介護事業所の1事業所あたりの常勤換算職員数は8.3人で、介護職員常勤換算数(現場で働く人員)は7.2人。

しかし、2020年時点だと1事業所あたりの常勤換算職員数は7.1人、介護職員常勤換算数は6.3人。6年間で1事業所あたり1人少ない状況になっています。

みんなの介護
みんなの介護より

1事業所当たりの職員数も減っているようです。

事業所は増加傾向だけど、少人数の事業所が増えているという事ですよね。
という事は、事業所が増えても対応できる容量は小さくなっているので、ヘルパーのサービス提供量は減少しているのかもしれません。

特に事業所の増加傾向が都会に集中しているのであれば、地方でのサービス量はどんどん減少していく構図になります。

いずれにしても訪問介護の経営は厳しさを増していく事に変わりはないので、しっかりと生き残り戦略を考えていかないといけないな、というのを再確認できました。

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