訪問介護事業所の倒産・休止件数が過去最高を記録したニュースが出ていましたが、その一方で事業所数は増加傾向にあるという事です。
時期はズレますが、倒産60件で増加が202件という事ですから、140件くらい純増しているという事になりますね。
これ、都市部で増えてるのかなぁ・・・。
少なくとも北海道の地方部では増えるどころか減る一方のような気もします。
たとえば当事業所のサービス提供エリア内で見ると、当事業所が新規立ち上げで1事業所増えてますが、2023年度中に休止・縮小で2事業所がサービス提供から撤退しますので、この地域だけでも-1件になります。
グラフで見ると2017年~2019年の間は減少傾向でしたが、2020年以降は増加傾向に転じています。
2019年度は、介護保険制度改正で訪問介護の基本報酬がアップしてましたね。
特定処遇改善加算が出来た時でしたね、今後のリーダー等に希望をもってもらえたり、若手にも経験を積めば将来ああなれるんだなぁ、という道筋を示すにも良い加算だと思ったのですが、結局は不公平だの加算の趣旨を理解してない人の反発があまりに多すぎて骨抜きになりましたね。
基本報酬が上がった事で経営的にも安定できる見込みが出来たので事業所が増加傾向に転じたようにも思いますが、今回の2024年度の改正では、訪問介護については、この時期の報酬アップを帳消しにして更にマイナスにする内容でしたので、もしかしたら事業所数は2017年~2019年の間と同じような減少傾向になるかもしれませんね。
ニーズが拡大するので事業所数自体が増加傾向にあるのは良いと思うのですが、自分が見ている地域の目線で見ると全くその実感が持てないので、もしかしたら都市部の施設併設の利益率が高い地域に出ない併設事業所が増えているのかもしれません。
だとすると、ほとんどニーズに対応している事にならないので問題は深刻になっていきそうな気もしますが、今回の報酬改正では、そういう併設の事業所での減算が強化されたので、地域にある程度出ていかない事には併設事業所は減収になるので、そのあたりどの程度の効果があるのかは見ていきたい所です。
もう少し掘り下げたいと思ったので、こちらの記事も紹介です。
2023年2月の記事ですので、1年前の内容ですが状況はほとんど同じだと思うので参考になると思いました。
2021年の訪問介護の受給者数(1530200人)と2021年の事業所数(33750事業所)を単純に計算すると、1事業所あたりの利用者数は、およそ45人となります。
当事業所(職員数(常勤換算)3.5人)で満足に利益を出そうと思うと、80~100人でギリギリですので、ちょっとおかしな事になります。
考えられるのは、少ない利用者数で訪問回数を増やしている場合かなぁ。
たとえば当事業所では、一人あたりの利用回数は、週1回や週2回がほとんどです。
80人の利用者さんで、月延べ訪問回数は約420件くらいなので、一人当たり月の訪問回数は5回くらいが平均なんですけど、例えば45件で400件くらい達成しようと思うと月9回くらいの訪問回数が必要になります。
ただ、業界全体でそういう感じではないと思いますので、おそらく一部の囲い込みの事業者が数字を引き上げているものと思います。
詳細でわかりやすかったので長いですが転載しました。
本当に一部の業者で囲い込みが行われていて、僕自身もそういうケースを見てきました。
こういう指摘がされてきたにも関わらず、是正されなかったので今回のような報酬改定でマイナス評価になったのだと思いますので、訪問介護業界全体の問題だと思います。
1事業所当たりの職員数も減っているようです。
事業所は増加傾向だけど、少人数の事業所が増えているという事ですよね。
という事は、事業所が増えても対応できる容量は小さくなっているので、ヘルパーのサービス提供量は減少しているのかもしれません。
特に事業所の増加傾向が都会に集中しているのであれば、地方でのサービス量はどんどん減少していく構図になります。
いずれにしても訪問介護の経営は厳しさを増していく事に変わりはないので、しっかりと生き残り戦略を考えていかないといけないな、というのを再確認できました。