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【天野尊明】介護事業は「人」が全て! 職場環境の実質を改善する事業者への高い評価を・・・という記事の紹介です。

今日は久しぶりにお酒飲んでしまいまして、昔はそれなりに強かったのですが、今ではビール一杯で結構フワフワするので記事に誤字脱字がいつもより増えているかもしれません。

先日、厚生労働省が自治体の介護保険事業計画に基づく今後の介護職員の必要数を公表しました。2040年までに約57万人(1年あたり約3.2万人)の増員が必要、というニュースをご覧になった方も多いのではないでしょうか。【天野尊明】

まずもって、1年あたり約3.2万人の増員が必要ということですが、同じく厚労省から示された介護職員数の推移を見る限り、令和に入って以降それが達成された年度はひとつもありません。それどころか、昨今では離職が入職を上回る「離職超過」さえ報告されています。

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介護職員不足は、僕が介護の資格取得を目指した2000年の頃から言われてた事なんですよね、当時ですら確実に不足する介護職というポップが書店に並んでました。

結局、その状況を変えることが出来なかった上に不足数は年々増加、介護職の採用数より介護職の離職数が上回ってしまう状況になってしまっているのが現状です。

僕が介護の資格を取ろうとしたきっかけの一つに、そんなに足りなくなるなら微力ながら力になりたいな、と思ったのが理由なので、そういう人ってそんなに多くないんだなぁ、としみじみ思いました(笑)

更に、人口動態上避けられない働き手の急減に加えて、改定を重ねる度に難解さを増すサービスのルールや内容、介護ニーズの多様化・複雑化で人員の加配が避けられない状況なども踏まえれば、この必要数が達成されるとみている人はどこにもいないのではないでしょうか。

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実際、この20年以上も状況が変わらず悪化の一方だったのが、特になんの変革もないままで状況が変わると思える方がどうかしてます。

期待していた報酬改定も、何のインパクトもない範囲でのプラス改定で、その後の他産業の賃上げの流れの中でほとんどプラスの意味が感じられない程度の改定でしたので、もはやどうしようもない、国としてはそこに力を入れてませんよ、という意思表示であると痛感しました。

社会保障費用の抑制を目的としている政権が運営しているので、それは当然と言えば当然です。

加算を狙うとなると人員の加配が避けて通れませんが、これも時代に合わないというか何というか。どんどん減っていく労働人口の流れの中で、どれだけの人材を確保できるのか。

それに加配と言っても現実的な話、現場は運営基準ギリギリの人員ではほぼ回せないのが正直な所です。
既に加配している上に加算取得のための人員を配置するのは容易ではありません。
それに、基本報酬がどのような設計をされているかわかりませんが、運営基準よりも加配しているということは、それだけ職員一人当たりに配分できる収益が減るという事ですから、そういう塩梅がわかってないと現場サイドの要望が無理難題になってしまいます。

少なくとも職場単位で黒字化出来てないと増員は不可能ですし、そもそも採用が難しい上に赤字の事業所に更に人件費を投入できるほど体力ある事業所は少ないと思います。

加算の内容とかわかってない現場職員も多いのも問題かとは思いますけど、そもそも加算要件を理解するのもなかなかに難しいのも事実ですので優しくない制度だなぁと思います。

今年度の介護報酬改定で最大の目玉となった処遇改善加算の一本化にあたり見直された点を改めてみると、「職場環境等要件」が重点的にテコ入れされていることが分かります。中でも職員の定着促進、とりわけ「生産性向上(業務改善や働く環境の改善など)」に関する要件が大幅に拡充されました。

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処遇改善加算の要件にされている職場環境要件って、今ならやってて当たり前、みたいな感じだったと思うんですよね。

けあタスケルより抜粋

それぞれ複数の具体的な項目が提示されていて、それらを選択して取り組んで、その数が各加算要件に見合っていたら加算は取得できますので、要はやる気があれば取れる加算とも言えます。

そもそもですけど、この人材難の時代に入職促進の取り組みをしてないなんて考えられないし、人材の定着を考えれば、キャリアアップややりがいや働きがいにつながる取り組みも欠かせませんし、少しでも人材獲得の間口を広がるなら、ダブルワークや両立支援は不可欠です。

そんでもって職員に元気に長く働いてもらいたい、職員の安全を守るために腰痛予防なんて介護職が身体を壊す最も多い原因が腰痛なので、やってて当然とも言えます。

で、生産性向上や業務改善は、既に始まっている人材難、労働人口の減少を考えると大なり小なり具体化して、根拠なき今まで通りを排除していかないと立ち行かなくなるのは自明の理なので、取り組んでいて当たり前とも言えます。

ですので、加算要件については、普通に運営していれば満たしていて当然なんだとおもうんですよね。

このことを前述の「加算はご褒美」という考え方に照らせば、厚労省が介護人材確保の対策で事業者に望むことの第1歩が、「生産性向上を軸とした定着促進」であると考えることができます。介護現場において、従事者目線に立った職場環境の“実質の改善”がない限り人材の定着は成らず、ひいては数的確保にも根本的な答えが出てこないということについては、筆者も確信に近い思いを持っています。

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個人的には、加算はご褒美というよりも、近いうちに基本報酬に組み込むから早めに取り組んどいてね、という感じなんですよね。
確かに質の高い取り組みを評価している面もあると思うのですが、介護の質を高めるてコストパフォーマンスを高めて、結果として社会保障費用を抑制するのが目的があるはずなので、加算レベルの質の取り組みは段階的に基本報酬や基本の運営基準に取り込まれていくと思っています。

ただ、それも労働人口の減少がどんどん進んでいくこれからの情勢には合わないとも思うのですが、このあたりのタイムラグは必ずあって、国はだいたい後手後手に回る傾向があるので、そのタイムラグがかなり危ないと思っていて、そこ乗り切れる経営体力を今のうちにつけとかないと危ういと思っています。

我が国における介護事業経営は、そのコストの大半を人件費が占めています。それだけに「人」が何よりも重要であることは疑う余地がありません。

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これまでの事業運営の経験上、介護事業といっても人件費は80%以下に抑えないと黒字は出ないので経営を安定化させるには安易に人を増やせないのも事実で、しかもこれだけ他産業との処遇改善競争と競り合うだけの改善をしていれば、それだけ少数精鋭にしていかないと事業として成り立たなくなっていくのが今の情勢です。

ちなみに、デイサービスなら人件費率は60%台、ヘルパーなら70%台前半がギリギリ黒字ラインかと思います。
ただ、統計を見ると平均だともっと低かった気がします。デイだと50%後半、ヘルパーだ60%台、そんな感じ。
ヘルパーに関して言うと、高い利益率を出しながら介護業界の中でも最も給与が低い統計が出ているので、一部の事業者で暴利を貪っている所があるように思いますが、介護報酬から得られる収益はできるだけ現場で頑張っている職員に還元してもらいたいものです。

「人」を第一に考え、職場環境の実質を改善する事業者こそが高く評価される制度づくりは、未来への回答のひとつになるのではないでしょうか。政府にはこうした施策を更に強化して頂きたい。現在、多くの事業者の皆様が積極的な取り組みを重ねているところですが、そうした動きを一段と後押しすべきだと思います。

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この人を大事に、というのは要は職員を第一に、という事なんですけど、介護事業所の多くは民間の営利企業ですから、第一目的は利益の追求なんですよね。
で、介護事業の費用の多くは人件費なんですから、人件費を削れば削るだけ利益が増します。
そして、介護業界の給与は他産業より低くて当たり前、という常識がずっとありましたので、そういう流れの中で経営を安定化させてきた事業所が多いと思います。

民間事業にやらせている以上、国がかなりの介入をしないかぎりは、人を第一に考える民間業者は少ないと思いますし、おそらくそうしてきた事業者は、この経営難の流れの中で淘汰されてしまっているようにも感じます。

結局、民間の経済競争の中で生き残りをかけさせてる以上、経営競争で勝てる利益追求型の経営戦略を取らなければ生き残れない訳で、そこで大きな矛盾が生じていると思います。その上で他産業との人材獲得競争にもさらさらているわけで非常に厳しい状況にあるとも言えます。

介護サービスのニーズが増える中で、介護サービスを提供できる人材が減っている状況は、国が制度としてしっかり設計していかないと本当にどうしようもなくなるな、と思いました。

民間で競争させるのであれば、ある程度の精度的な足枷は外して行くべきですが、そこは足枷の重しを増やす傾向ですので、どんどん戦いにくくなっている現場もあると思います。処遇改善を進めつつ、もっと機動力が活かせるような制度にしていってもらいたいものです。

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