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アメーバ経営について。稲盛氏について。

アメーバ経営で有名な稲盛氏がご逝去されました。
日本が誇るトップ経営者の一人だと思います。

この機会に、アメーバ経営や稲盛氏についての記事などを紹介したいと思います。

アメーバ経営を行っている京セラは、1959年の創業以来一度も赤字を出しておらず、1984年に創業されたKDDIの前身である第二電電も高収益を上げ、発展し続けています。アメーバ経営は日本航空(JAL)の再建においても目覚ましい成果を残し、医療・介護分野にも導入が進むなど、業種を問わず、国内はもとより海外でも大きく進化・発展を遂げています。

アメーバ経営は、稲盛和夫の「会社経営とは一部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わって行うものだ」という考えが貫かれています。

京セラ

創業以来赤字になっていない、というのは凄いですね。
このアメーバ経営というのが非常に効果的という事がよくわかります。
医療や介護分野にも導入が進んでいるようですが、確かに全社員が経営に参加する、というフレーズは聞くようになりまたし、形は全社員が経営に参加して行う、という感じなってきていますが、残念ながら当法人の業績は中々改善できていないので、どこかでアメーバ経営の解釈や使い方を間違っているように思います。
ユニットケアと同じで、これをすればいいケアが出来る、という事でシステムは導入するけど、手段が目的になっていて本来の効果が得られていないという状況なのかもしれません。

組織をアメーバと呼ばれる独立採算で運営する小集団に分け、その小さな小集団にリーダーを任命し、共同経営のような形で会社を経営していきます。
各アメーバの活動の成果を分かりやすく示すことで、リーダーを中心に全社員が自分たちの収支を意識するようになり、それぞれの持ち場・立場で持てる能力を発揮し、利益確保に取り組むようになります。こうしてアメーバ経営は経営者意識を持ったリーダーを社内に育成すると同時に、全従業員が経営に参画する「全員参加経営」を実現します。

京セラ

介護事業所で当てはめると、各事業所が共同経営者のような形で経営していくスタイルという事ですよね。
独立採算という事は、それぞれの小集団で成果によって給与や賞与に差があって、成果を上げれば報酬も上がるという事でしょうか。
頑張った分だけ自分に返ってくる、自分の所属する集団が評価される、という事がきっちりと見えれば、こういうリーダーが育ったり経営に参画する職員が増えたりはしていきそうですね。

実際、介護の現場でこのような手法は有効なのでしょうか。

人材の分散・磨耗により経営を担う人材育成が追いつかなかったことと合わせ、トップと現場の意識や感覚にズレを感じ、現場との一体感はなかなか得られない状況でした。その結果、事業収益は悪化し、職員のモチベーションも下がるという状況に陥っていきました

京セラ

多くの介護事業所があてはまりそうですし、実際に現場を見ていてもこの通りな状況が多いです。

アメーバ経営の導入を決めたものの、もともと製造業中心の経営モデルであるアメーバ経営の考え方に対して、現場には大きな反発がありました。"介護保険という収入を軸にした制度ビジネスだから仕方がない""導入しても効果がない"という先入観にとらわれている大多数の職員に対して、発想の転換を示していきました

京セラ

実際、僕自身も介護保険事業のような業態では・・・と思いましたし、結構反発されるだろうなぁ、と思います。

これ、介護事業所内で赤字部分のような事を言うと”厳しい”と言われる内容ですが、やはり一般企業から見て当然の指摘ポイントですよね。
一番共感したのは、現場はすでに限界の状態・・・の返しの部分の『無駄なおしゃべりや非効率な作業もなく、本当にすべての時間が利用者のために使われているか』という部分です。
これ、本当に徹底してこれをやりきっている現場を見たことがありません。
特に現場はもう大変だ、限界だ、と言う現場に限って、あまり利用者さんと接してなくて職員同士でしゃべっていたりします。
本当に頑張っている現場もある一方で、ある程度のラインを自分たちで引いてしまって、それ以上頑張りたくないので限界だ、と言っている現場も確かにあるのが現実と考えています。
そういう意味では、まだまだ介護業界の現場のレベルは、平均的に甘いのではないか、と思ってしまいます。

さらに、"リーダーのあり方に関する認識を根底から変える"ことも重要だったという。
「これまで、良いリーダーとは、現場スタッフと一緒に介護をする"ベテランプレイヤー"という考え方がありました。しかし、アメーバ経営で求められるリーダーは、可能な限り自分をフリーにして、グループの目標達成を実現する手段を考え、現場の運営が円滑にいく気配りをし、トップとともに経営を考える"マネージャ"。こうした役割のあり方を変えていくためには、リーダー自らが"気づく"ことが大切です。そのためには、さまざまな仕掛けが必要となります。会議を行ったり勉強会を開催するなどして、変化への"気づき"につながる環境と情報を提供すること。行き詰ったリーダーには『どこが悪いか』のヒントを与えること。こうした働きかけによって、"気づき"へと我慢強く誘導し続ける必要がありました」(担当者)

京セラ

リーダーについて、やはりマネージャーであるべき、という事ですね。
ここで重要なのは、このリーダーにそれだけの裁量があるかどうかだと思います。リーダーが現場をマネジメントしていく上で、こうしたい、こうした方がいい、と判断した事が実行できる権限があるかどうか。
そこまで権限が与えられているリーダーってあまりいないと思います。

ただ、やはり気づきが重要というのは本当にその通りと思います。

導入にあたり、組織構成の見直しと、再編成を行った。そして採算表の導入。採算は、収入から経費を差し引き、その数字を時間で割る"時間当り"というアメーバ経営独自の考え方。営業日数や業態・業務の違いなどで評価が左右されない仕組みで、採算表の項目もシンプル。すべての職員が"家計簿"のような感覚で取り組める。

「"時間当り"という経営層と現場の共通の指標ができたことで、コミュニケーションが変わると同時に、経営の透明化が図れました。さらに、自分の仕事の成果だけではなく、努力や創意工夫がそのまま、数字に反映されるので、職員一人ひとりのモチベーションも向上しました。そして、アメーバ経営の導入前は、活気がなく、誰も責任を持たない、トップの独断場となりがちだった経営会議も、現場から採算表や重点項目の説明を行い、それに対しトップや経営管理部門が質疑やアドバイスを行う、活気に溢れ、参加者全員のベクトルが合ったコミュニケーションの場へと変化しました」(担当者)

京セラ

やはり組織構成の見直しや再編は必要不可欠な要素だと思います。
こういう所を変えない限りは、いくらこれまでにない取り組みをしようとしてもうまくいかないと思いました。

あとは時間当りの評価は参考になりますね。
現場と経営の共通の指標というのは勉強になります。
介護事業所の導入成功事例ですが、組織づくりには非常に参考になると思いました。
同じ物差しを経営側も職員側ももっているので共通言語で話しやすい。
これは大きなポイントだと思いました。
だからこそ、いろんな意見が出たりアドバイスに繋がったり透明性の高い議論ができるようになるんだなぁと思いました。

「アメーバ経営」のポイントは、企業(法人)を小さな組織(10人以下程度)に分割し、組織ごとに役割・責任を明確にし、各リーダーに自分の組織の経営を任せることです。その活動成果には、事業の形態や部署の人数、収益規模などに左右されない「時間当り」という統一の指標を用います。「時間当り」は、収入と経費だけでなく、差額である付加価値を計算し、その付加価値を総労働時間で割ることで算出。この「従業員の1時間当りの付加価値」により、各組織が1時間当りにどれだけの付加価値を生み出したのかが簡単にわかります。

また、時間当りの付加価値を数値化するとともに、その情報がタイムリーに共有されなくてはなりません。そのために「アメーバ経営」では、運用ルールに基づいた情報システムを構築し、物と伝票(情報)の1対1の対応とダブルチェックを徹底。正確かつ迅速な実績管理を実現するとともに、アメーバ(現場)に対しても組織の経営に必要な情報を提供することを可能にします。介護福祉事業にとっては、「地域社会で介護を必要とする方々に対して快適な生活を提供する」という介護事業における高い使命を果たすためにも、経営環境の変化に柔軟に対応し、安定した経営を保ちながらサービスを提供し続けることが何より重要です。

京セラ

情報をタイムリーに共有する仕組みづくりも重要ですよね。
なので、厚労省もこういう部分の効率化にICTを活用しやすくする方法を検討してほしいです。人員基準の緩和とかでなくて。

さて、アメーバ経営について紹介してきましたが、稲盛氏についても深堀りというか、もっと知りたくなったので調べてみました。

稲盛氏は人生や経営の経験から導き出した独自の経営哲学を唱えた。「人間として何が正しいか」を基本に、倫理観や社会的規範を重視し、「動機善なりや、私心なかりしか」「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」など分かりやすい言葉に落とし込んだのが「京セラフィロソフィ」だ。

この経営哲学を土台に、組織を小さな単位に分けて採算管理を徹底させる「アメーバ経営」を生み出した。各リーダーが計画を立て、メンバー全員で知恵を絞り、努力し、目標を達成する。リコーの山下良則社長は「社員に責任を持たせれば働く意欲も増す、という考え方に大いに感銘を受けた」と話す。

日経ビジネス

人間として何が正しいか・・・これは介護の現場では常に真正面から対峙しないといけない課題ですよね。
現場では、業務との兼ね合いで中々これが難しい。その部分で多くの介護職が心を痛めていたりするので、次に紹介されている『動機善なりや、私心なかりしか』が考え方で重要なポイントになると思いました。

大きな夢を描き、それを実現しようとするとき、「動機善なりや」ということを自らに問わなければなりません。自問自答して、自分の動機の善悪を判断するのです。

善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは誰から見てもそうだということです。自分の利益や都合、格好などというものでなく、自他ともにその動機が受け入れられるものでなければなりません。また、仕事を進めていく上では「私心なかりしか」という問いかけが必要です。自分の心、自己中心的な発想で仕事を進めていないかを点検しなければなりません。

動機が善であり、私心がなければ結果は問う必要はありません。必ず成功するのです。

稲盛和夫オフィシャルサイト

これですね、これは読んでいて本当に本当に大切だと思いました。
自分の動機の善悪の判断は、おそらく無意識的にみんなしていると思いますが、どうしても人間は弱いので、自分の利益になる方向への判断が強くなったりしますよね。

善とは、普遍的に良き事であって誰から見てもそうだ、とう事は、介護職であればやはり常にそれを心がけて実行する必要があります。
そうでなければ、他人の人生を支えてよりよいものにできないからです。

自分の心や自己中心的な発想で仕事を進めてないかを点検しなくてはならない、これも非常に重要なポイントですよね。
介護サービスは、高齢や疾病や認知症や障害によって誰かの助けがなければ自分らしい生活を送れなくなった人たちへ、本来あるべき自分らしい生活を送ってもらうために必要な援助を行ってよりよい人生を送ってもらうためのサービスです。
ここに自己中心的な発想が入り込む余地はないんですよね。
だからケアプランがあるはずだし、資格が必要な仕事なんです。

動機が善であり、私心がなければ、どのようなケースでもQOLの向上につながる支援はできるはずだ、と思っています。

「善きことは必ず成功する」。京セラで稲盛氏の側近だった大田嘉仁氏(現MTG会長)が、約30年前に秘書となったころ稲盛氏から渡されたメモにはこんな趣旨の一文がある。

「人生は必ず、つじつまが合う。善きことをすれば善きことが返ってくる」と稲盛氏は常々、口にしていた。

日経ビジネス

善き事は必ず成功する。
良い言葉ですね、これは僕も信じています。
見返りを求めてもいいと思います、人生は必ずつじつまが合う。善きことをすれば善きことが返ってくる・・・なんだか素敵な言葉だな、と思いました。

稲盛氏は生前、「利他の心」が重要だと説いた。10年、破綻したJALの会長として無報酬で再建に乗り出したのもその哲学が背景にあった。大田氏は会長補佐として、稲盛氏とともに再建に取り組んだ。

破綻直後のJAL社内は殺伐としていた。役員同士は一言も言葉を交わさない。統括する部署が1円でも多くの予算を獲得することこそが最優先事項と言わんばかり、足を引っ張り合っていた。

「人間は暗いと失敗をする。明るい人が成功する」。大田氏が渡されたメモにはこんな言葉もある。人を妬んだり、揚げ足を取ったりせず、素直に長所を認められるというのが彼の言う「明るい人間」だ。「自分の辞書にはネガティブな言葉は入っていない、ともよく話していた」(大田氏)

妬みそねみは人間の成長を止める。ライバルをけなして自分の価値を相対的に高めるのではなく、ライバルの能力を心から称賛しつつ、それを上回ろうと努力することが重要だと考えていた。

日経ビジネス

足の引っ張り合いは介護の現場でも往々にしてあります。
本当に無駄な事だと思いますが、当の本人たちは真剣に取り組んでいるので厄介です。
足を引っ張っても他人を悪く言っても自分の実力が高くなるわけではないのに・・・。

やはりポジティブな言動が人を成功に導くのだな、と思いました。
あれこれマイナスで悩んでいても仕方ないですよね、他人の心情なんて正確に理解するのは難しいです。

僕は、たとえば職員から不機嫌に応対されたり、挨拶を無視されたりしても、まず嫌な気持ちを受け止めながら・・・まてまてよく考えろ、きっとあの職員はお腹がすいていて腹がたっていたのであんな応対だったんだ気にするな。・・・まてまて、挨拶を無視したんじゃない、多分聞こえてなかったか、挨拶を返してくれたんだけど俺が聞こえてないかだ。
というように考えるようにしています。
中にはいつも不機嫌そうな人もいれば、いつもめんどくさそうな人もいますが、そういうケースは、もうその人はそういう応対がスタンダードになっていて、特に他意はないけどそう感じてしまうんだ、ちょっと可哀そうな人だなぁ・・・なんて思うようにしています。
まぁ、それでもちょっと辛いんですけど、それはそれですぐに忘れるようにしています。嫌な事で自分の脳みそや気持ちを消費するのはもったいないので。

妬みやそねみは成長と止める、というのは本当です。
そういうタイプの職員で成長した人を見た事がありません。
成長したいと頑張っているけど、どうしても妬んだりしてしまう性分の人は、本当に成長が遅いですし、ちょっと成長したと思ったら、いつの間にか元に戻っている人もいます。なので、自己肯定感を高めたり、自分を褒める訓練をさせる事が多いです。
ただ、これも当の本人が自分の性格を変えようと思わない限りはあまり効果がないので、気長な対応が必要になります。

誰かに負けて悔しいなら、勝てるように自己努力をするしかありません。
努力なく成長はないと思っていますが、なぜか介護職の多くは努力もしないで成長できる(している)と思っている人も多いのが実感です。

さすが戦後の日本をけん引してきた大企業を育ててきた稲盛氏の言葉は勉強になりましたし、いろいろと気付くことができました。

偉大な先人の言葉や行動を見本にして、これからも精進していきたいなと思いました。

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