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特別な事でなくていい。

ヘルパーは限られた時間でやる事が決まってるのでそうでもないんですが、デイサービスだとまだまだ利用者さんにとってデイサービスに通う目的が曖昧な場合が多いです。

ただ、機能訓練特化型や選択プログラムが豊富に選べるデイサービスならまた違った感じと思いますが、我が社のデイサービスは良くも悪くも昔ながらのデイサービスで、夕方まで居てお風呂に入るタイプのデイサービスです。

集団体操をして色塗りや貼り絵などの手作業をしてお風呂に入ってお昼ご飯を食べて・・・。お昼からも似たような内容の繰り返し。

正直、自分が管理してますが僕なら1日そこに居るのは苦痛だなぁと思います。
なので、希望がある方はお昼で帰れるようにしたり既存の内容を変えたりはしてきましたが、こういう明らかにニーズが高い変更であっても、上司や現場職員からの合意を得るのが難しいというのも事実です。

経営幹部からは収益が減るからだめだ等の経営的な視点での反対、現場職員からは送迎の仕事が増えたりする事での反対をされました。

しかし、いろいろ地域のケアマネージャーさんの話や相談を聞いたり、利用者さんの希望や、病院からの紹介問い合わせの電話などでは、明らかに短時間でデイサービスを利用できないか?という問い合わせが多いんです。

なので、どんなに反対や否定をされても短時間利用については継続してきました。
いまではようやく経営幹部も短時利用のニーズがある事に理解はしめしてくれるようになりましたが、それも短時間利用者を受け入れている事業所の方が安定して利用者を確保できている事実が積み上がってきたからだと思います。

で、短い時間で運動してお風呂に入りたい、というニーズが圧倒的に多いのですが、それだけだとやはり空き時間が生まれる訳です。
個別の機能訓練とかもありますが、それでもまだ1時間〜2時間程度は時間が空きます。

その時間をどう楽しんでもらえるかを考えるのが介護職員なんですが、なにせ古い感覚のデイサービスなので、塗り絵しか提供してなかったんですよね、僕が着任して1番驚いたのがその現状でした。

塗り絵をしない人はだまって座ってるだけ。
特に隣の人とも会話するとかなくてすごく静かなデイサービスでした。

そりゃ赤字にもなるわなぁ、と思いました。
着任時は黒字化しつつある時期でしたが、それまでは万年赤字のデイサービスでした。
他の拠点にいた時は、なんでデイサービスで赤字になるんだと思っていましたが、そりゃ誰も通いたくないよな、と実際の現場をみて実感しました。

なので、まずはもっと提供できるサービスはないのかを現場職員に確認して回りましたが、ずっと塗り絵しか提供してなかったからそういうものだと全員が思っていました。

塗り絵をしていない人は何かしたい事があるとか聞いてないの?と確認すると、知りません。

職員が複数で固まって記録や書類を書いてるんです。
たぶん、そういう状況でみんな静かに座っていてくれるので問題ないと思ってたんだと思いますが、さすがにあり得ないので、まずは記録書く人以外は利用者さんとおしゃべりする事にしました。何かしたい事がないか会話の中から引き出してこい、と。

それから2年くらいかけてホールは騒がしくなり利用者さんは自由に歩いてコップ洗いや洗濯物を干したり、他の利用者さんと楽しそうに会話したり、職員と一緒にレクリエーションや集団体操で使う道具を作ったり、プランターで菜園を作ったり季節感を感じられる壁絵をつくったり。

だいぶ雰囲気がかわってきて、まだまだこれからもっといろいろ出来ることをみんなで増やしていきたいと思いますが、最初で難しかったのが職員から何をしていいかわからないという意見や、職員が何が特別なことをしないとダメだと思っている事の意識を変える事がなかなかに時間がかかりました。

『特別な事なんてしなくていいし、わざわざ用意しなくていいから普通の事を普通にみんなでやろうよ。』
と、伝え続けました。

介護だから、デイサービスだから、という枠を取り払って普通のあたりまえの感覚で。
そこに介護の専門職としての視点と工夫が入れば、なんだって自立支援に繋がると思います。

例えばちぎり絵だって、複数の利用者さんで取り組んでいいし、それぞれが出来る事をやればなんだって出来ると思います。綺麗に仕上げる事ではなくて、みんなで協力して作り上げる事が何か普通でいいと思うんです。

現場の職員は綺麗に上手に仕上げたい人が多いんですけど、それって介護職側のこだわりであって、ケアの目的ではないと思います。

結果として綺麗に仕上がればより良いとは思いますけど、その作業で利用者さんが楽しかったり助け合ったり嬉しかったりを体験出来ること自体が素晴らしい事だと思います。

それに、別に作業とか作品をつくらなくても、ただそこで一緒に過ごす事、何気ない会話を楽しむ事だって素晴らしい事のはずです。

特別なでなくていいから、普通の事を普通にやろうよ。

業務は最低限の職員で、みんなで利用者さんと関わろう。
今はまだ利用者さんと関わる時間を取る事が特別な感じになっていますが、いつかそれが特別でなくて普通の事にしていきたいです。

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