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え! 嘘だろう…。ヘルパーの基本報酬引き下げ 在宅介護は机上の空論へと突き進む=結城康博・・・という記事の紹介です。

訪問介護の基本報酬のマイナスは結構話題ですね。
ただ、もうこれが覆る事なんてほぼないので、出来る範囲でやれるだけの事をやるだけですし、職員への処遇についてはきちんと手当される対策はされているので、結局、かつてデイサービスの利益率が高かったので基本報酬が減らされた経験を活かせずに同じ事を繰り返してきた業界全体の問題だと思いますね。

限られた枠の中でどう利益を出していくか、そういった構造にしていくかが問われているわけで、要は対応力がない事業所は淘汰されるという事と思っていて、そこは経営者としては腕の見せ所なんじゃないかなぁという感じです。

ただ、ヒヨコ経営者の自分としては、ハードモードいつまで続くのかなぁ・・・と不安しかありませんが、そういう不安自体も楽しまないと面白くないな、という感じで、若干ワクワクしています。(倒産するかもしれんけど)

そんなわけで、訪問介護の報酬改定に関するニュースには自然と目がいきます。

来年度の介護報酬改定をめぐり、厚生労働省が各サービスの新たな基本報酬を公表した。正直、自分の目を疑った! 訪問介護(ホームヘルパー)の基本報酬が引き下げられているのだ。【結城康博】

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そこまで驚かなかったですけど、心のどこかで利益率高いからマイナスあるかも?って思ってたのと、ここ最近の訪問介護事業所の倒産件数の増や人手不足や職員高齢化、有効求人倍率の高さを見たらさすがにマイナスはないだろうなぁ・・・なんていう希望的観測があったのも事実で、どちらかというと、ほんとにマイナスにしてきた!って感じでびっくりしました。

これでは一部の地域を除き、地域包括ケアシステム、在宅介護は机上の空論となる道を突き進むだろう。なぜ今、訪問系サービスの基本報酬だけが引き下げとなるのか。全く理解できない!

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実際、地域包括ケアシステムの構築はちょっと厳しいと思います。
そもそも厳しい道筋だったのが、訪問介護事業所の淘汰が進みそうな流れが出来た事でより確実になったというか、そもそも事業数が少ない、訪問介護の職員数が少ない地方では、本当に地域住民が中心になって自分たちで自分たちを守らないとならないような状況になると思います。

そして、今回の改正で思うのは、地方や過疎高齢化が進んでマンパワー不足の地域で、コンパクトシティ化を頑張って推し進めて高齢者を集合住宅とか一部地域に集めて、訪問介護事業所が少ない人材で効率的に訪問しようという工夫をさせないような仕組みを国が作ってしまったので、行政がそういう工夫をしても、結局儲けにならない(効率的に稼げない)事業をやりますよ、という営利企業は存在しないわけで、行政が募集をかけても応募がなかったり、そもそもマンパワー不足で担い手がいなくてとん挫するような将来が目に浮かびます。

ですので、今回の改正で併設型の事業所への減算などの範囲は、都市部など地域区分が一定レベル以上の地域に限定するなどの対策や、行政主体で実施する事業については除外するなどの工夫をしないと、本当に地方では訪問介護事業の維持継続はかなり難しくなるのではないかと思いました。

◆ 国は在宅介護を諦めた?

今回は全体のプラス改定が決まっていたため、どのサービスでも幾ばくかの基本報酬の引き上げが期待されていた。最低でも現状維持は固く、まして引き下げは多くの人にとって想定外だったに違いない。

当然、直近の「経営実態調査」の結果で施設系の厳しさが明らかになっていたため、特養や老健などの基本報酬の大幅な引き上げは予想できた。しかし、まさか訪問介護が引き下げになるとは…。その下げ幅も以下の通りかなり大きい。

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基本報酬部分では、物価高騰や処遇改善加算の対象外職員を採用している事業に対して手厚くした感じですので、訪問介護などは介護職の比率は多いわけですから、処遇改善加算の割合を高くしているのであとはなんとかしてくれ、という国からのメッセージです。

まぁ、僕自身も最悪現状維持かなぁ・・・とは思ってましたけどね。

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昨日の記事でも書きましたが、だいたい2%程度の減になります。
今まで通りの収益を確保するのであれば、新たに1人くらいの新規利用者を確保しないとマイナスになる感じですね。

団塊の世代の要介護者が増えていく今後は、地域包括ケアシステムの深化が欠かせない。厚労省もそう言っているのだから、在宅介護の主力の訪問介護を拡充すべきではないだろうか。

今回の基本報酬の大幅な引き下げによって、新規参入の事業者は少なくなるに違いない。国は在宅介護の推進を諦めた − 。世間でそう思われても仕方がない。

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介護事業所は民間で利益をあげないと倒産してしまいますから、これまでと同じ仕事をしていてもマイナスになってしまう事業に対して、どこまで魅力を感じるか、参入してみようと感じるか、という事を考えると、よほどのチャレンジャーか、この状況をブルーオーシャンとして評価するか、みたいな経営者じゃないと入ってこないでしょうし、もしそうだとしても人材確保できそうな都市部での開業は増えそうですから、そうなると競合が増えてレッドオーシャンになってしまいますので、結構厳しいと思います。

何度も言いますけど、訪問介護の倒産件数は年々増加傾向です。
職員の高齢化も進んでいます。
さあこれからどうする?・・・という時期が今回でした。

◆ 経営基盤の強化も不可欠

そもそも訪問介護は人件費の比率が高い。先の「経営実態調査」の結果で、施設系サービスと比べても明らかである(*)。このため厚労省は訪問介護について、処遇改善加算を拡充すればヘルパーの賃上げが実現できる、基本報酬を引き下げても事業所の努力で対応していける、と考えたのだろう。

* 経営実態調査の収入に対する給与費の割合=訪問介護は72.2%、通所介護は63.8%、特養は65.2%、老健は64.2%

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弊社では、軌道に乗った場合の人件費率は78%程度で、利益率は2%くらいなんですよね。

基本報酬を下げても努力次第でなんとかなるようなレベルの事業規模じゃないので、かなり頑張らないとヤバイ感じです。

確かに、新たな処遇改善加算の最も高い区分(加算率24.5%)を取得すれば、相応の賃上げが実現できるかもしれない。

しかし、この区分はクリアすべき要件が多い。実際に取得できるのは限られた事業所にとどまるだろう。ヘルパーの人手不足や高齢化が進むなか、中心になって現場を支えているサ責などの忙しさは増しており、生産性向上などにしっかり取り組む余力のあるところは少ない。

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弊社では、最上位の加算は算定できそうです。
介護福祉士の割合も8割近いですし、全員がベテランですから。
ですので人件費率も高いんですけど、更なる生産性向上の工夫は不可欠ですね。
あとは経費削減かなぁ・・・。
あるいは奥の手ですけど、残業とかない社長の僕が圧倒的に件数を回る事でなんとかなるかもしれませんね。

いずれにしても、今回の改正では訪問介護については、経営者に大いに問われるような内容だと思っていますので、本当に今まで通りというわけにはいかないと思います。

ただなぁ・・・これ一般の商品やサービスじゃなくて、日本人一人ひとりの人生の最期の時間を少しでも豊にするための社会保障制度のサービス事業なんですよね。

誰もが住み慣れた地域や住み慣れた自宅で少しでも長く自分らしく過ごしたいと思っているはずなんですけど、そこを担うはずの訪問介護の基本の報酬がカットされてしまうというのは結構やばいんじゃないかなぁと思いますし、親や家族の介護で仕事に就けないケアラー問題や介護離職問題はずっと問題視されていて、財務省も約9兆円もの経済損失につながると分析している状況なんですけど、そこのフォローが出来るのも訪問介護のはずなんですよね。

ちゃんとトータルで見た時の影響とか考えた報酬設定なのか、ただ単に机上の数字だけでつじつまを合わせた報酬設定なのか、そもそも最初から大枠が決まっていてその中で説明しやすいように調整するだけの事だったのであれば、やっぱりちゃんと今後の人口減少・労働人口減少・すすむ高齢化・ケアラー問題・介護離職問題などをちゃんと考えてないのかなぁ、なんて思ったり思わなかったり。

なんにしてもしばらくはいろいろ考えさせられる内容でした。


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