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【介護報酬改定】訪問介護の同一建物減算を拡充 4月から 併設・隣接の集合住宅の割合も考慮 具体策決まる・・・という記事の紹介です。

今日は、訪問介護の改正に関する内容で、今回のポイントになる内容の記事を紹介します。

厚生労働省は来年度から訪問介護の同一建物減算の拡充に踏み切る。【Joint編集部】

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簡単に説明すると、アパートに高齢者に住んでもらって、そのアパートの一室に訪問介護事業所の事務所を構えて、そのアパートの中の高齢者に対して効率よく訪問介護のサービスを提供するビジネスモデルが、これまでも不必要なサービスまで提供して荒稼ぎをするようなケースが横行していて問題になっていたのが、今回更にペナルティを強くする内容になった、という事です。
基本報酬が引き下げられた上にペナルティの範囲が拡大したので、あくどい商売をしていた事業所についてはこれまでのように稼げなくなるよ、という事だと思いますし、国としてもそこを狙った改正だと思います。

ただ、そうであるのであれば、やはりこういう業態は通常の訪問介護とは別物になるので、新たな事業区分を設けて改めて指定申請をさせ、利益率を一定水準程度に抑制できるような独立した報酬体系にした方がよいと思ってましたが、今回の改正では全ての訪問介護事業所で一律に基本報酬を引き下げるという形で国の姿勢が示されました。

まぁ、国としても税金を使った事業になるわけですから法の網目をくぐるようなあくどい商売はしないで、ちゃんとした介護サービスを提供してくださいよ、というメッセージなんだとは思いますけど、僕らのような地方で長距離移動して不足するサービスを何とか支えて頑張っている小規模零細の事業所にとっては良い迷惑です。

新ルールは以下の通り。これまでは同一の敷地、隣接する敷地の建物に住む利用者の人数が指標だったが、新たに「人数の割合」に基づく評価が導入される。

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新たに拡大されたのは12%減算(赤字で表記)の内容ですね。
半年ごとの平均割合で減算の対象にするのは面白いですね。

まず、事業所と同じ建物か隣接する近隣の建物に住んでいる利用者さんへのサービス提供については、それだけで10%(1割)の減算になっていましたし、同一や隣接していなくて離れた建物であっても、その同じ建物内の20人の利用者さんへサービスを提供した場合でも10%(1割)の減算になっていました。

また、それに加えて、同一建物や隣接する建物へのサービス提供で10%減算になっている場合でも、月に50人以上の利用者がいる場合は15%の減算になりますよ、というのがこれまでのルールでした。

今回は、上記ルールに加えて、6か月間の平均で同一建物や近隣の建物の利用者さんへのサービス提供が全体の90%を超える場合は、12%の減算になりますよ、というルールが追加されたわけです。

ですので、これまで49人とかギリギリの件数で一番ひどい15%の減算を回避していた事業所でも、同一建物や近隣の建物以外の地域に対しての訪問介護を全体の10%以上提供できていなければ、12%の減算になるという事になるわけで、併設型の事業所にとっては、外に打って出て減算を回避するか、もう開き直って15%減算覚悟でどんどん同一建物や近隣で利用者を増やすか、という状況になるという事だと思います。

個人的には、①も②も④も全部合算の減算にすればいいと思ってますけど、まだまだ国は優しいですね。

ちなみに、以下の記事は2015年の記事です。

訪問系サービスとは、訪問介護のほか訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、それに定期巡回随時対応訪問介護看護(24時間訪問)である。こうした事業所がサ高住の入居者にサービスに出向くと報酬が減らされてしまう。サ高住の建物の1階に事業所を構え、上階の入居者がそのサービスを利用しているケースは多く、事業者には大打撃となる。

基本報酬からの減額は、いわば罰則。ペナルティを課されると受け止められる。はっきりいえば「良くないこと」「勧められないこと」である。

つまり、サ高住と同じ建物で訪問介護の事業所を設けるのは、正当な事業でないと言わんばかりだ。これに対して厚労省は「戸建て住宅に一軒一軒訪問するのと比べ集合住宅は効率がいいので、報酬に差をつけた」と説明している。

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8年も9年も前から厚労省としては、こういうモデルは良くないよ、ペナルティを課すよ、としてきたわけですが、一向に減る様子がないのでしびれを切らしたのかもしれませんね。
業界に自浄作用がないのであれば、報酬を下げるしかないという事でしょう。

ただ、こういう制度やシステムがある以上、そこで効率的に利益が出せるから民間事業者が参入してきていたのであって、個人的にはそういう利益を追求する民間の感覚や経営努力を想定していなかった国や厚労省も悪いと思いますけどね。

”厚労省は「戸建て住宅に一軒一軒訪問するのと比べ集合住宅は効率がいいので、報酬に差をつけた」と説明している。”

そうであれば、この8年9年の間に別の分類に出来る時間もあったと思いますけど、なんで今まで何もしてこなかったのかは不思議です。

訪問介護の同一建物減算は、ホームヘルパーらの移動の距離・時間の短さ、業務負担などを考慮して設定されているもの。施策の狙いは、有料老人ホームやサ高住などに住む利用者の給付の適正化だ。

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実際によく聞くのは、必要ないサービスを使わされるケースです。
ヘルパーでもデイサービスでも、併設の事業所のサービスを使わないとその建物に住めないような、そんな雰囲気があったりなかったり。

ちなみに実際に僕自身が経験した話でいくと、それまでは僕らのデイサービスを利用してもらっていたのですが、高齢者住宅に入居するようになったらケアマネも今までの担当からその高齢者住宅専属のケアマネに変更になって、デイサービスも併設のデイサービスを利用しないといけないから、という理由で利用終了になったケースが少なからずあります。
一方で、高齢者住宅に入居しても、これまでどおりのケアマネで、これまで通りのデイサービスに通える所もありましたので、本当にそれぞれで違いがあるのだろうと思っています。

現場の関係者の間では、集合住宅の利用者ばかりを対象とする訪問介護の囲い込みのビジネスモデルを念頭に、「公平性に欠ける」との不満が根強い。

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実際、今回の改正の議論の経過の中で、囲い込みの業態については問題視されていて、何等かの対策が練られると思ってましたし、いよいよ併設型と単独型の訪問介護事業所を別の区分にする可能性もあるな、と思っていたので、まさか全体の基本報酬を減らした上で更なるペナルティを併設型のサービスに追加してくるとは思ってなかったのでびっくりしました。

なんとなくですが、とりあえず様子見をしているような感じもしますので、この新たなルールがどの程度の効果が出るのか。

おそらく厚労省としては、併設型の事業所のマンパワー不足の地域の訪問介護のサービスを少しでも担って欲しい、という意図があって、そのメッセージだと思うんですよね。
そうじゃないと90%っていう平均値を最低ラインにしない気がします。
まずは10%だけでも地域に出てよ、という事だと思います。

まぁ、それとは別に基本報酬が減らされて地域で踏ん張って来た小規模の事業所が倒産したりして、どんどん減ってしまう可能性もあるので、本当にどうなるか先行きは見えません。ただでさえ職員高齢化と担い手不足による有効求人倍率の高さが問題の訪問介護事業で、ここ数年の倒産や休止縮小の件数も右肩上がりの状態ですので、必要に応じたタイミングで制度の修正をするなりのフォローをするくらいの柔軟性をもって現状を見ていてもらわないと本当に手遅れになる可能性もあるんではないかと思っています。


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