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ソフトバンクGの「ペッパー」 介護施設で第二の人生・・・という記事の紹介です。


一昔前に街中でよく見かけたソフトバンクグループ(G)の人型ロボット「Pepper(ペッパー)」。誕生から今年で10年になり、以前よりは街中で見かけなくなったが、実は介護施設で「第二の人生」を歩んでいる。2月から介護施設向けのペッパーに生成AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」が新たに搭載され、施設利用者の良き話し相手になっている。

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ペッパー君が出てきてからもう10年も経ってたんですね、ちょっとびっくりでした。

ほんとうに最近はショップとかでも見かけなくなりましたね。
7~8年前にデイサービスにソフトバンクの営業の方がペッパー君のレンタルの営業で来られた時点で、それなりに活用が進んでいた状況だったみたいですし、その当時でも利用者さん、特に認知症の方の話し相手で活躍している話も聞いてましたので、今ではいろいろな機能がついて進化してそうですね。

「ペッパーくんはまるで孫のようです。いつでも自分の好きなことを話しかけると、応えてくれます」

高齢者施設と障害者施設を運営する社会福祉法人緑陽会(群馬県富岡市)の施設利用者は、ChatGPTと連携する介護施設向けペッパーとの会話を楽しんでいるという。例えば、群馬県名産の「こしね汁」についてのローカルな話題を取り上げて応えてくれると好評だ。同施設では介護施設向けペッパーのChatGPTと連携した商用展開に先駆けて、実地テストを進めていた。

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顔を認識して声をかけてくれたり見守り機能もあると営業の方は言ってたので、使い方によっては割と活用できそうな印象でしたが、やはり活用は進んでいるみたいですね。

結構、こういうロボット相手の対話って、下手な人間相手よりうまくいくケースが多いような印象もあります。

本部事務局の渡辺高広氏は「ChatGPTが搭載されたことで、ペッパーとの会話のラリーが続くようになった。施設利用者がペッパーと話している間、カルテや介護日誌を書く時間を確保できるように改善された」と話す。職員側のメリットもあることが分かる。

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これ、活用方法として一番最初に思いつくんですけど、でもこれって実は逆なんじゃないかぁ・・・なんて思ったりしました。

技術の進歩がペッパー君のような対話型ロボットの作成に向いているので仕方ない部分があるのですが、それって介護現場の人間のニーズなんだろうか・・・。

もし、それ(記録や書類を書く時間が欲しい)が現場のニーズであるのであれば、これはもう介護保険制度の欠陥というか、本来は専門職が実際のケア(会話やコミュニケーション、身体介護など)を担当すべきですし、そういうニーズの調査で、もっと利用者さんとゆっくりコミュニケーションがとりたい、というような要望が多く上がって然るべきだと思うのですが・・・。

ただ、そうはいってもこういう技術を活用して、必要とされる書類整備の時間が確保できている事は喜ばしい事だと思います。
実際、僕も営業の方と話している時に、ペッパー君一台を導入すれば、そういう計画作成やモニタリングの作業に人員を投入できる事を想定しました。

介護施設向けのペッパーは2020年から商用展開をスタートした。ゲームや歌、体操などのレクリエーションに加えて、言語訓練や上肢訓練のリハビリのサポート機能を備えている。緑陽会ではこうしたアプリケーションへの期待とロボットの珍しさから利用者が活気づけばという思いでペッパーを導入した。同施設では毎日午後にレクリエーションをしており、現在はそのうち週2回ほどをペッパーが担当しているという。

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結構プログラムを担当させているのかと思いましたが、週2回ほどの頻度のようなので、もしかしたらサポート職員を配置できる余裕がある曜日のみ、プログラムを活用しているのかもですね。

普段はホール等に置いておいてコミュニケーションメインで活躍しているのかなぁ。

ペッパーを販売するソフトバンクロボティクス(東京・港)Humanoid事業部介護チャネル責任者の鈴木俊一氏は「介護施設では脳の活性化を目的に1時間程度、利用者が職員とともにゲームや歌、体操をしている。施設職員が毎日ネタを考えて実演する必要があるが、ペッパーがいれば映像なども流しながら実演して自動進行できるメリットがある」と話す。

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自立して移動できないのでサポート職員は必要でしょうね。
ただ、そこは介護職でなくてもいいと思うので、ペッパーサポート専用のアルバイトとか出てきても面白そうですね。

ハードウエアとしてのペッパーは現在、生産を停止している。ソフトウエアをバージョンアップしたりレンタル先のニーズによってカスタマイズしたりすることでペッパーの事業を継続している。

鈴木氏は「人手不足解消のための業務負荷軽減の需要がある。完全に人を代替できるわけではないが、今までの負担が1だとすると0.7くらいに職員の業務負荷を削減できるので喜ばれる。ペッパーはコミュニケーションロボット。コミュニケーションを通じて施設職員の業務負荷軽減に役立つ点がポイントになる」と話す。

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ペッパー君、既に生産停止になっているのはちょっとびっくりでした。
結構活用できそうだったし、本当にここなんですよね→【今までの負担が1だとすると0.7くらいに職員の業務負荷を削減できるので】・・・、この職員の負担軽減が確実に実現できる所にどこまで価値を見出せるか、というのが大きなポイントだったんですけど、以前勤めていた会社もそうでしたし、そこまで介護業界でそこを評価する事業所が少なかったというのが、生産停止の現状を表しているように思いました。

昨今、介護業界の人手不足は深刻だ。介護分野の職員数は00年から20年で約3.9倍に増加した。しかし、有効求人倍率は05年の約1.4倍から21年は約3.6倍に上昇している。一方で、00年から20年で要介護と要支援の認定者数は約3倍に増えている。需給のアンマッチが広がっている。

この傾向はさらに加速しそうだ。約800万人の団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる25年以降、人口の約18%が後期高齢者となる見込みだからだ。

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介護職も増えたけど、求人倍率も上昇しているという事は、必要な人材が確保できてないという事ですし、その状態で需要が増えていくわけですが、どんどん需給のアンマッチは広がっていくわけですよね。

こうした人手不足による現場の負担を軽減するアプローチの一つとして、ロボットが注目されている。ペッパーのようなコミュニケーションに役立つロボットの他にも、移乗介助や移動支援、排せつ支援、入浴支援、介護業務支援をする介護ロボットが続々と登場している。

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いろんなロボットが開発されていますが、記録や書類作成の自動化システムも研究してほしいなぁ・・・。

必要なデータ(人員配置や常勤換算表など)を入力しておけば、常時行政へ提出が必要な書類が自動で作成され、自動で提出できるとか、日常の記録もセンサーや映像や画像から自動で読み取って記録化するなど、いまの技術でも出来そうなもんですけどねぇ。

映像が保管されていれば記録として提出できる、という扱いも出来るようになれば、日々の記録から解放されますし、普段の平均値から大幅に飛び出るようなデータ(動作など)を検出した際にはイベント記録などしてくれて、普段と違う動作や行動を文書で記録してくれたら、それをそのまま編集して支援経過記録やモニタリング報告にも使えそうです。

個人的には、直接介護をロボットが提供できるようになるよりも、こっちのほうの支援の方が簡単に出来そうなんですけどねぇ。
厚労省も、できるだけそういうシステムに合わせた記録方法で良いなどの対応をしてくれれば、それこそ不足するマンパワーのちょっとした足しになるかもしれません。

ただし現状では、ロボットの導入に必要な高額な費用がネックとなり、十分に普及していない。例えば、一般的な入浴支援ロボットの導入金額は約35万円などと高額だ。政府は、こうした課題から一定額以上の介護ロボットに関して介護保険施設や事業所への導入にかかる金額の助成金を出している。

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そう、導入には高いコストが必要で、それこそ2000年の介護保険制度スタート時と比べて基本報酬がカットされている現状では、なかなかそういう設備投資に回せる資金がある体力のある企業は限られてしまいます。

介護事業所がもっと導入しやすいように、購入時の補助ではなくて、販売時の補助も併用して思い切って手軽な価格で導入できた方が研究開発とかも進むと思うのでwinwinなんじゃなかろうか・・・と思うんですけどねぇ。

介護施設向けペッパーも、価格面の負担を軽くすることを意識したという。鈴木氏は「一般接客向けと比べて介護施設向けペッパーは、機能を絞って提供することで金額を安くしている」と話す。今回新しく追加するChatGPT機能は、既存の介護施設向けペッパーにChatGPT機能を備えた会話アプリケーションを無料配信する。会話数の上限ごとに、別途月額プランを用意する形だ。現在、毎月4000回分の会話のラリーまで無料利用できる。

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任天堂がファミコンでやってたような、本体をいっぱい打ってソフトを勝手貰うとか、今風だとサブスクみたいな工夫もして、多く広くの顧客をターゲットにしてもなんとかなりそうな気はしますけどねぇ。
少なくともあと20年以上はニーズが増え続ける業界なんで・・・。

そんなに儲からない介護事業ですから、そこを配慮した販売戦略とってもらえると、それなりに安定している事業所なら安定的な収入は確実なので、長期的なビジネスの視点で価格設定してもらえれば販路拡大できるかも、とか思ったり。

それこそ、機器同士でデータ連携できるシステムとかあれば付加価値もつけれるし・・・。

調査会社のアスタミューゼ(東京・千代田)によると、介護・生活支援ロボットの世界市場規模は、23年の推定126億米ドル(約1兆8900億円)から30年には749億米ドル(約11兆2400億円)に成長する見込み。ロボットの活用により、介護の質の維持・向上と、現場の負担を軽減することが期待される。

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介護ロボットのマーケットは今後10倍に成長するみたいですね。
さて、日本はここでも乗り遅れてしまうのでしょうか・・・。

せっかく、世界でもトップレベルの高齢化が進んでいる状況があるのに、そのピンチをチャンスに帰れるいい機会だと思うんですけどね。


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