目的を同じにできるかどうか。
管理者の後任に引き継ぐに当たって心掛けているのがチームメンバーが見ている目的を同じ方向に向かせられるかどうかが重要、という内容です。
その為には、自分の言葉で想いや熱意を伝える必要があります。
尊厳を守る。
自立支援。
個別ケア。
これらの要素さえ間違えていなければ、介護保険事業者としての方向性に間違いはないと思います。
介護保険法の理念に明記されていますので。
なので、こういうキーワードを自分の中で消化した上で自分なりに伝えていかないと、ちゃんと勉強したり意識したりしている職員以外には伝わりません。
なんか上司が言ってる事はよくわからないけど、なんかいい感じがする。とか、何となくそれが良い、と思わせるような所から始めないと、すでに回っている現場に改めて理念を落とすのは非常に困難ですし、最初に徹底的に叩き込んでいたとしても、引き継ぎや交代や職員の意欲や意識の低下でだんだんとチームから理念の視点が抜け落ちていく状況もよくあります。
チームとして理念が落ちてない、という表現を使って説明するのですが、理念や手順は、本来なら人ではなくその職場やチームに定着させなければならないものだと考えているからです。
なので、本当ならリーダーだけではなく、現場職員も正しく理念を理解した上で、同じ方向を向けるようなコミュニケーションを現場職員レベルでやり取りできる状態が良いとは思いますが、どうしたことか介護の現場では先輩への忖度や、単に声がでかいだけの人への遠慮などが横行し、理念がねじ曲がってしまっている事が多々あります。
そういう事業所でいろいろと軌道修正は頑張ってきたつもりですが、まぁ上手く行った事はありません、永遠の課題ですね。
ある程度いい所までは到達したりするのですが、やはりちゃんとしている主力のメンバーが抜けてしまうとガタガタになる事が多かったです。
本来なら、こんなに分かりやすい理念はないと思うんですよね。
尊厳を守りつつ自立支援を行う事。
それが歪んでしまうのは、忙しさだったり大変さだったり現場職員の負担の過多だとは思うのですが、そもそものその負担感の尺度が個人任せなので、たとえば僕は平気な事でもAさんは大変だし、Bさんは耐えられなかったりするわけです。
そう、たぶんですよ。
介護の現場に、そういう全般的な基準がなくて、ほとんど個人の感情や感覚任せになっているのが原因ではないかとは思っています。
6時間ずっと立ちっぱなしで利用者対応できる人もいれば、1時間も立っていると疲れて動けなくなったり座ってしまう。
そして、介護職員の高齢化や人員不足化が進むこれからの現場では、この基準が最も年齢層が厚い年齢層の体力に合わさっていったりするのではないかと少々不安な気持ちで将来を想像してしまいます。
人手不足になれば当然今まで以上に現場を回さなくてはいけないが現場職員です。
今まで以上に体力も応用力も臨機応変な柔軟な対応も求められます。
これを頑張る職員を支えるには、年功序列ではなく個人の力量や成果に依る賃金体系や評価方法を採用しないと、ちょっと現場は回らなくなるのではないか・・・と最近強く思うようになりました。
少し動いて”あーつかれた”と言って休んでしまう先輩介護職より、勤務時間をずっと利用者対応で柔軟にサービス提供できる若手職員の仕事の差を見ていると、なんで動きの悪い先輩の方が給料が高いのだろう・・・と普通に疑問に思ってしまいます。
現場の職員は、事業所の経営は現場職員が支えているといいますし、それは間違っていないとは思いますが、その現場を支えて誰よりも動いて利用者さんのためにケアを提供している若手職員にこそ、もっと光を当てるべきではないかという思いが年々強くなってきています。
そのためにも、まずは目的意識を一致させ、自分たちが何をすべきなのか、仕事の時間をどう使うべきなのかを、ちゃんと考えていかないと、こういった問題は解決しないのだろうなぁ・・・なんて思いました。
まぁ、それをやるのが事業所のトップの僕の役割なのですが、労働者ですから霞を食って生きていけるわけでもないので、やはりそこは賃金できちんと評価できる仕組みの整備も同時に必要だなぁ、と思います。
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