見出し画像

訪問介護のヘルパーの有効求人倍率、昨年度は14.14倍 厚労省「非常に厳しい状況」・・・という記事の紹介です。

厚生労働省は12日、介護保険の訪問介護を担うホームヘルパーの有効求人倍率を新たに公表した。【Joint編集部】

直近の昨年度は14.14倍。前年度比では低下した。引き続き極めて高い水準にあり、施設の介護職員との格差も依然として大きい。

JOINT

ヘルパーの有効求人倍率は他と比べても突出して高いので有名ですが、去年は14.14倍という事で、僕が記憶してたのが15倍くらいあったので、それと比べると軽減傾向ですけど、事業所の閉鎖や縮小もある事を考えると、人材確保が進んで減ったというよりも、事業継続を諦めて減ってしまっている状況があるのではないか・・・と思ってしまいます。

とはいえ14倍というのはかなり高い数字ですよね。

有効求人倍率が高い

有効求人倍率とは、求職者1人に対して何人分の求人があるかを示す数値のこと。基準は1で、上回れば人材の需要が高いことを表して、「就職のしやすさ」の目安になります。

「100件の求人があった場合、100人が応募して全員に仕事がある」といった状態が1倍となり、1倍以上は、企業の採用活動が活発化しているといえるのです。

有効求人倍率が高い場合、企業側としては応募者がなかなか集まらない状況になり、転職者側としては企業や仕事の選択肢が多く有利なため、「売り手市場」となります。

カオナビ

一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について

ポイント
令和5年12月の有効求人倍率は1.27倍で、前月に比べて0.01ポイント低下。
令和5年12月の新規求人倍率は2.26倍で、前月と同水準。
令和5年平均の有効求人倍率は1.31倍で、前年に比べて0.03ポイント上昇。

厚労省

全体の平均でみると有効求人倍率の平均は1.2倍程度ですので、平均よりも10倍も高い人手不足である事がうかがえます。
労働者目線では売り手市場になっているので、良い職場をじっくり見極められる環境だとは思うのですが、そもそもヘルパーで働こうと考えている人自体が少ない気がするので、そこが大きな問題だと思っていますし、そこを改善できないままここまで来てしまったので、こんな倍率になっているんだと思います。

JOINT

これまで施設職員との比較データは見た事がなかったので、このグラフを見てびっくりしました。
施設でも人手不足は深刻なので、もっと高い倍率だと思ってたんですけど(それでも全体平均の3倍)、状況としては右肩下がりで改善傾向にありますね。

一方ヘルパーも昨年度で減少傾向になりつつあるのですが、この2022年度で突出した原因と2023年度げ減少した原因について、なにかはっきりしているモノがあれば知りたいですね。

しかし、こんな倍率が毎年アップしていく状況をよくもまぁ放置してきたな、と思います。減少に転じる結果が出るような具体策をなぜ2019年まで打てなかったのか不思議。

2019年に何があったのか調べると、以下の介護保険制度の改正がありました。

2019年の介護報酬改定での改定内容は主に4つあります。

介護職員の処遇改善について
消費税引き上げに対しての介護報酬に係る所得税の扱いについて
区分支給基準限度額の引き上げについて
低所得者の食費や居住費の負担軽減について

けあタスケル

介護職員の処遇改善について

勤続年数10年以上の介護福祉士について、他産業と変わらない賃金水準になるよう処遇改善を進めています。

それを実現させるために、勤続10年以上の介護福祉士に対して、月額8万円程度の処遇を改善していくことをもとに、国から1000億円を負担して処遇改善を行っていくと示されました。

けあタスケル

特定処遇改善加算が新設された年ですね。
ベテランでリーダー級の職員を他産業と同水準の賃金になるように打ち出してきた施策で、この流れは定着やキャリアアップで頑張れば将来こんなキャリアで仕事ができる、と若手に示す事ができるのでいい加算だと思ったのですが、特定の職員だけ評価して処遇を改善するのは不公平だ、みたいな意見がいろんな所から出てきて骨抜きにされましたね。非常に残念でした。

それでも、この加算の影響でヘルパーの有効求人倍率の上昇に歯止めがかかった可能性はあるかもしれません。

このあたり、ちゃんと因果関係を研究すれば具体的で効果的な対策も見えてきそうなんですけど。

厚労省はこうしたデータを、この日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)に報告。「有効求人倍率は高止まり。非常に厳しい状況が続いている」との認識を示した。

JOINT

ヘルパーの有効求人倍率が高いという事は、ニーズはあるけど、そのニーズに対応できる職員が足りてない、という事を示しています。
事業所としては、あとこのくらい職員がいれば事業継続・事業拡大が出来るのに足りてないから求人を出すわけですので。

ですので、これから更に高齢者が増えてニーズが拡大していく2040年頃までは介護難民が増える傾向であり、家族介護で仕事ができなくなる介護離職も増えるだろうし、ケアラー問題も深刻になって唯でさえ減少していく労働人口が更に減少してしまう可能性があり、日本の経済の土台を揺るがす大きな問題なんだと思うんですけど、あまりそういう所までイメージしている人がいないので現状のような情報が放置され続けてきているのだろうと思います。

財務省は危機感もっているようですけど、それでも予算は回しませんよ、という姿勢なので何とも言えません。

人手不足が大きな課題となっている介護職の中でも、ヘルパーは最も深刻な職種。人材を十分に確保できないため、事業者が訪問介護の運営を続けられなくなったり、必要なサービスの提供が滞ったりするケースが増えている。地域によって違いはあるものの、ヘルパーの高齢化なども念頭に危機的な状況だと警鐘を鳴らす関係者が多い。

JOINT

事業所の閉鎖や縮小が増えている一方で、新規立ち上げも増えているので、ある程度の新陳代謝が進んでいるような気もするのですが、どうも増えている新規事業というのが併設型の訪問介護事業所らしいので、ちょっと微妙なんですよね。

ヘルパーの平均年齢も業界トップですので、ベテランが定年退職した後、職員が誰もいません、という状況も生まれそうです。

訪問介護のホームヘルパーの平均年齢は、各職種の中で最も高い54.4歳。前回調査より0.3ポイント上がっていた。ヘルパーは60歳以上が37.6%。この割合は前回調査から更に0.6ポイント高まった。依然として高齢化が進んでいることが改めて浮き彫りになった形だ。

JOINT
進むヘルパーの高齢化 4割弱が60歳以上 平均年齢は54.4歳に 最新調査より

これ、2022年の記事なので単純計算でいくと、平均年齢は56歳になってる感じですね。
定年65歳?70歳まで頑張ってくれたらなんとか2040年までは現状の人員は維持できそうですけど・・・はてさて、どんどんニーズが増える中で体力が低下してくヘルパーがどこまで対応できるのか微妙です。
ちょっと笑えない状況になりそうです。

国の調査によると、ヘルパーとして現場で働くことを希望する人が少ない要因では、

◯ 1人で利用者宅へ訪問してケアを提供することへの不安が大きい(85.3%)

◯ 他のサービスと比べ、実質的な拘束時間が長い割に効率的に収入が得られない(66.7%)

◯ 実際に仕事をしてみないとやりがいが理解しづらく、事業所によるアピールが難しい(65.3%)

※ 出典|令和3年度老人保健健康増進等事業「訪問介護事業のサービス提供体制の見直しに関する調査研究事業」

JOINT

これ、他のサービスと比べて収入が得られない、という調査結果があって、これが深刻なんだと思っています。
平均給与でも、ヘルパーは業界内で最下位なんですよね。一番低い。
でも処遇改善加算の割合は一番高いんですよ、一番処遇改善が進んでいるはずの業界なんです、ヘルパーって。

なのに業界で一番平均の給与が低いって状況は、どれだけ利益追求の企業にぼろ儲けさせてきたか、という事にも繋がると思っていて、その結果、他業種よりも高い利益率のヘルパーのみ今回の報酬改定でマイナスになれてます。

国としては、ちゃんと処遇改善できる対策してんのに、そっちでちゃんと還元せずに利益追求ばっかりしてるからもう知らねーぞ、って感じですよね。

こういう流れで真面目にやってる僕らのような小さな事業所まで大きな影響を受けてしまうわけです。処遇改善加算が一番高いヘルパーが業界内で平均給与が一番低いなんて思ってもみませんでしたからね、びっくりです。

この日の審議会では委員から、目下の深刻な状況を踏まえて対策を強化するよう求める声が相次いだ。これを受けた厚労省は、介護報酬の処遇改善加算の取得促進、小規模な事業所への支援、魅力発信の広報などにより一層注力すると説明した。

JOINT

対策がちょっとまだそんなんでイケると思ってるの?と思ってしまう内容ですが、やらないよりはやった方がいいので真剣に対策を検討して進めて欲しいですね。

もうどの産業も人手不足ですよ。バスの便も減ってます。
そういう状況も考えて社会保障制度を維持できる対策を検討してもらいたいですね。国民の人生かかっているわけですので。

さて、おおさわですが10月29日(火)開催のこちらのイベントに参加します。

令和6年度 第2回 福祉職場説明会 in 室蘭
「福祉のお仕事に つながるフェア」
日時:令和6年10月29日(火) 午後1時30分~午後3時30分(午後3時受付終了)
会場:FKホールディングス 生涯学習センター”きらん” 2階 研修室
室蘭市中島町2丁目22-1
〇福祉・介護のお仕事に興味のある方 ~どなたでも参加いただけます~
【参加費無料】【申込み不要】【無資格OK】【未経験OK】

参加予定の10法人の内の1法人として一人でひっそりブースに座ってますので、もし来られたら気軽に声をかけてくださいませ~。

第三期メンバーが見つかるかも?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?