頭頸部がんに対する放射線治療 ー 放射線性リンパ球減少と予後との相関 ー

Dai D et al. Radiother Oncol. 2022. PMID:35017020

<目的>
・頭頸部がんに対する治療において、放射線治療は重要な役割をはたしている。
・放射線によるリンパ球減少(RIL)は重要な放射線治療における合併症である。
・今回の研究では、頭頸部がん患者において、放射線性のリンパ球減少(RIL)が予後へ与える影響を評価した。

<対象と方法>
・PRISMAガイドラインに基づき、システマティックレビューとメタ解析を行った。
・2007年から2021年10月までの報告を、PubMed、Embase、Cochrane Libraryのデータベースで同定した。
・それぞれの研究の質をNOS(Newcastle-Ottawa Qualiity Assessment Form for Cohort Studies)により評価した。

<結果>
・最終的に8研究、2,733例のサンプルを今回の研究に組み入れた。
・メタ解析では、グレード3-4の放射線性リンパ球減少(RIL)発症のオッズ比は13.49(95%CI = 7.03-25.89、I2 = 94%)であった。
・グレード3-4の放射線性リンパ球減少の発生率は73-88%であった。
・多変量メタ解析の結果、グレード3-4の放射線性リンパ球減少(RIL)による有意な全生存(HR = 2.94, 95%CI = 1.83-4.74, I2 = 0%)および遠隔無再発生存(HR = 3.79, 95%CI = 2.06-6.97, I2 = 0%)を有意に悪化させた。
・感度分析を行い、異質性の可能性のある研究を除外し、再度多変量メタ解析を行ったところ、放射線によるリンパ球減少(RIL)は無増悪生存悪化のリスク因子であった(HR = 3.16, 95%CI = 1.77-5.63, I2 = 0%)。

<結論>
・今回の研究は、頭頸部がん患者において高度の放射線性のリンパ球減少(RIL)が全生存を悪化させることを示した最初のメタ解析である。
・今後、高度の放射線性のリンパ球減少(RIL)と頭頸部がんの予後との関連を評価するための大規模な前向き研究が必要である。


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