間質性肺疾患を合併している肺がん患者に対する根治的放射線治療

Walls GM et al. BJR Open. 2023. PMID: 37389005

<背景と目的>
・肺がん患者では比較的間質性肺疾患(ILD)の合併が多く、その頻度は7.5%程度と報告されている。
・従来、間質性肺疾患(ILD)を合併している場合には、放射線肺臓炎の発生率が高く、線維化を悪化させ、生存成績が不良であることから、根治的放射線治療は禁忌と考えれていた。
・今回、間質性肺疾患(ILD)を合併している肺がん患者に対する放射線治療後の臨床的/画像的毒性の成績を報告する。

<対象と方法>
・間質性肺疾患(ILD)を合併している肺がん患者に根治的放射線治療を行った患者を前向きに集積した。
・放射線治療計画、腫瘍背景、治療前および治療後の機能的/画像的パラメータを記録した。

<結果>
・2009年2月-2019年4月、27例の間質性肺疾患(ILD)合併肺がん患者に対し根治的放射線治療が行われた。
・主な(52%)間質性肺疾患(ILD)は UIP (usual interstitial pneumonia)タイプのものであった。
・ILD-GAP scoreでは、大半の患者は stage Iであった。
・放射線治療後、限局性(41%)または広範な(41%)間質性変化が認められたが、呼吸苦スコア(15例で評価)やスパイロメトリ(10例で評価)は安定していた。
・間質性肺疾患(ILD)合併肺がん患者のおよそ1/3では、長期にわたる酸素投与が必要となり、間質性肺疾患を合併していない患者群と比較してそのリスクが高かった。
・間質性肺疾患を合併していない患者群と比較して、間質性肺疾患(ILD)を合併している患者群では生存期間の中央値が短い傾向がみられた(17.8ヶ月 vs. 24.0ヶ月, p=0.834)

<結論>
・間質性肺疾患(ILD)を合併した肺がん患者に対する放射線治療後、スパイロメトリでの機能悪化が認められることは多くなかったものの、間質性肺疾患の増悪が認められ、生存成績は比較的不良であった。
・早期の死亡も多いものの、長期にわたる病勢制御が得られた場合もある。


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