食道がんに対する化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成のリスク因子 ー JCOG0303の補足的解析 ー

Tsushima T et al. Medicine (Baltimore). 2016. PMID: 27196482
・胸部食道がんに対する化学放射線療法による食道の瘻孔形成のリスク因子
・後ろ向き研究(日本)/ JCOG0303試験の補足的解析
・食道の瘻孔形成のリスク因子:食道狭窄(esophageal stenosis)


<背景>
・食道の瘻孔形成は局所進行食道がんに対する化学放射線療法(CRT)を受けた患者における重要な有害事象。
・しかしながら化学放射線療法を受けた患者の食道の瘻孔形成と関連するリスク因子は明らかとはなっていない。

<対象と方法>
・放射線治療とシスプラチン/5-FU併用を行い、シスプラチンの低用量と標準用量を比較した第2/3相試験に登録された患者140例から得られたデータを後ろ向きに解析を行った
・組み入れ基準:全身状態(PS)0-2、組織学的に証明された胸部食道がん、T4 および/あるいは切除不能なリンパ節転移を有する患者で、根治的化学放射線療法(CRT)が適応可能。
・食道の瘻孔形成のリスク因子:Fishers exact testを用いて単変量解析を行い、logistic regression modelsを用いて多変量解析を行った。

<結果>
・食道の瘻孔形成を31例(22%)に認めた。
・これらのうち、6例は化学放射線療法施行中に食道の瘻孔形成を認めた。
・化学放射線療法開始から食道の瘻孔形成の診断までの期間の中央値は100日(IQR 45-171)。
・食道の狭窄が唯一の有意なリスク因子であった(単変量解析; p=0.026、多変量解析;オッズ比 2.59 [95% CI 1.13-5.92], p=0.025)。
・今回の解析では、他の因子(治療アーム、年齢、性別、全身状態、原発腫瘍の局在、T病期、周囲臓器へのリンパ節転移の浸潤、血球、アルブミン値、肥満度 [BMI])はリスク因子ではなかった。

<結論>
・局所進行胸部食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法が施行された患者において、食道狭窄が食道の瘻孔形成の有意なリスク因子であった。

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