表在食道がんに対する非治癒切除の粘膜下層剥離術(ESD)後 ー 化学放射線療法 vs. 手術 ー

Suzuki G et al. Radiat Oncol. 2022;17:191. PMID: 36401267

<背景>
・表在食道扁平上皮がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後に非治癒切除となった場合の標準的なアジュバント治療は食道切除術(手術)
・しかしながら、近年ではESD後の化学放射線療法(CRT)による有望な治療成績が報告されてきている
・今回の後ろ向き研究の目的は、表在食道がんに対するESD後に非治癒切除となった患者に対する化学放射線療法と手術後の治療成績を比較すること


<対象と方法>
・表在食道扁平上皮がんに対するESD後、非治癒切除となった患者でその後に化学放射線療法または手術が行われた患者の長期成績を後ろ向きに比較解析した


<結果>
・60例の患者を対象に解析を行った。
・34例に対しては化学放射線療法が行われており、26例に対して手術が行われていた。
・経過観察期間の中央値は、化学放射線療法群 46ヶ月、手術群 56ヶ月。
・年齢の中央値は、化学放射線療法群 69歳、手術群 65歳で、化学放射線療法群に高齢者が多かった(p=0.0054)。
・化学放射線療法群の全例で化学放射線療法を完遂し、グレード3以上の非血液毒性の発生率は6%であった。
・全生存や無病生存は両群に明らかな差を認めなかった。
 ・4年全生存率:化学放射線療法群 84%、手術群 92%(p=0.87)。
 ・4年無病生存率:化学放射線療法群 65%、手術群 73%(p=0.41)。


<結論>
・表在食道がんに対する非治癒切除の内視鏡的粘膜下層切除術(ESD)後の患者に対する化学放射線療法は有望な治療戦略。



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