参考図書リスト

※難易度のレーティングである A,B,C,D,E については、こちらの動画で説明をしています。

【数学オリンピック2015-2019年】
財団公式の過去問集。予選受験時はともかく本選受験時は必須。本選問題の解説は財団ホームページに公開されていないだけでなくネット上にもほとんどないため。JMO本選以外にもEGMO、APMO、IMOの問題・解説があるので、こちらで演習量を稼ぐことができる。本選通過を狙うなら5年分と言わず最低10年分を確保したい。解説については必要最小限。
【ジュニア数学オリンピック2016-2020年】
財団公式のJJMOの予選と本選に特化した過去集。冒頭に5段階のレベル分けした例題集がある。難易度設定は妥当で的を得ている。例題は海外の問題や国内の古い問題であるため気兼ねなく解くことができる。例題集に続いて基礎事項の確認についての章がある。一般的な中学・高校の課程で習わない数オリで基本となるような事項を含めてコンパクトに紹介している。JMO予選を初めて受験する人がJMOの過去問を解く前に、慣らしや感触をつかむ目的で使用する方法もある。基礎力の確認として使用するのもよい。
【数学オリンピック辞典】
レビュー中。レビューができ次第、文面を掲載します。
【獲得金メダル!国際数学オリンピック メダリストが教える解き方と技】
日本のIMOメダリスト9名の経験とノウハウを凝縮した1冊。IMOの傾向を分析した上で、枝葉を削ぎ落としたノウハウの主幹に焦点を当てている。問題の類型化、数オリならではの基本テクニック(公式・定理ではなくアプローチ方法)などが問題分野毎に受験者視点で記されている。珍しいことに関数方程式について定石などがまとめられている。扱う問題(難易度C-E)はJMO本選、春合宿、IMOが中心。本選通過のための良書でもある。
【パーフェクト・マスター:初等整数/平面幾何/組合せ論/代数・解析】
問題の半分はJJMOとJMO、残り半分はIMOや海外のオリンピックからセレクトされている。問題タイプ別に基礎事項の簡単な確認と典型問題の紹介がある。問題タイプ毎に「初級」、「中級」、「上級」と難易度が分類されている。難易度の設定はかなりラフ。問題は各級の中で難易度順に並べられているわけではない。中級レベルと思われる問題が初級に分類されていたり、その逆も目に付く。予選通過のためなら初級(難易度A-B)だけを扱えばよく、中級(難易度C-D)は難しいのでパスした方が賢明。本選通過のためなら初級~中級を解く。日本代表を狙うなら上級(難易度D-E)まで手をつけたい。
【 数学オリンピックへの道 精選問題:数論/三角法/組合せ法】
3部構成:「基礎事項の確認」、「基本問題」、「上級問題」。扱っている問題は基本的に海外のものなので気兼ねなく解くことができる。「基礎事項の確認」の章は、分量も十分でかなり丁寧。数オリの問題の背景にある基礎事項(公式・定理)を理解することが主目的となっており、例題は理解をサポートする目的として位置付けられている。「基本問題」の章は、予選通過ボーダーより実力が要求され(難易度B-CでCが中心かつDがたまに混ざる)、「上級問題」の章は、IMOレベル(難易度D-E)。問題の番号が進むと解答の手順が増える傾向。
【数学オリンピック表彰台に立て!】
JMO予選の1990年~2014年の過去25年から分野別に問題をセレクト。JMO予選通過を主眼とした難易度となるように難しすぎる問題を極力排除している(難易度Bが中心でCがときどき混じる)。解説では必要に応じて図を用いてくれているので理解に不自由が少ない。
【競技数学アスリートをめざそう 国際数学オリンピックへの道標:代数/組合せ/幾何】
問題タイプ毎に3~4問を徐々に難易度が高くなるように配置している。大まかにはJJMO予選→JMO予選・国立大学入試→JMO本選→SLP・IMOという段階を経るが、いきなりSLP・IMOから始まる問題タイプもある(予選では出題されないタイプなのである意味当然)。解説では必要に応じて図を用いてくれているので理解に不自由が少ない。金メダリストとの対談が数ページある。
【中学生からの数学オリンピック】
とても親切な良書。読者対象はこれから初めてJJMOまたはJMOを受験する中1~3(高1の補充演習としても有効)。海外オリンピックの問題で構成されているため、JJMO/JMOの過去問演習の邪魔をしない。問題について細かく分類されており、{予選,本選}×{中1,中2,中3}×{難易度A,B,C,D}の組合せがページ順に並んでいるため演習しやすい(難易度が明示されている)。反対に組合せ毎に数問程度しかないため、基礎的な補充演習して使用するのが良いと思われる(これ一冊をやればOKというものではない)。付録には数学の基本事項について、かなりのページ数を割いて紹介してくれている。
【三角形と円の幾何学:数学オリンピック幾何問題完全攻略】
有名な構図の説明の後に類題を数問ほど用意してくれている。問題は海外オリンピックから構成されている。ただし内容はJMO/JJMO本選レベル。予選通過のためだけであればオーバースペック。本選で幾何を得点源にするために使用するのがよいと思われる。幾何が好きな人やマニア向けの一冊といえる。
【マスター・オブ・場合の数】
教科書・参考書レベルと数オリレベルをつなぐような、基本的な考え方やテクニックを一通り揃えている。場合の数が苦手な人や得点が安定しない人が集中的に基礎を強化するのに効率的な一冊。難易度の表記があるため学習しやすい。本書は第1部から順番に取り組むことが想定されているが、第2部で知識を獲得してから第1部に戻って獲得した知識を活用するという進め方も有効。第3章は大学入試問題ということもあり数オリと傾向が異なる問題が続き、第4章は発展的な内容となっているので、時間に余裕がない人はスキップしても良いかもしれない。
【マスター・オブ・整数】
大学入試レベルの整数問題をある程度解ける人が、俯瞰的な視点を獲得するための一冊。整数問題が苦手な人や初学者には、ややハードルが高いと思われます。通常の参考書では取り扱われない数オリで時折みられる整数特有の計算方法を扱ってくれています。第1部から第4部までの取り扱い方はマスター・オブ・場合の数と同様です。

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