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小清水志織
2021年5月12日 21:59
「非常用電源だ! 電源はどこだ!」ダイニングが暗闇に包まれて一同がパニックに陥るなか、今藤はじめの怒声が大きく響き渡った。目が暗さに慣れるまでに時間がかかるので、あちこちで人がテーブルにぶつかる音や、「ごめんなさい」と謝る声、駆け足の靴音、せわしないスーツの衣擦れが聞こえてくる。僕は美里の安否を確かめるべく、彼女が体育座りをしていた辺りに手を伸ばした。しかし、暗闇の中で遠くに行っていないはずの
2021年4月14日 21:45
ダイニングのどこから響いているのであろうか。周囲に視線を巡らせてもスピーカーらしきものは見当たらない。天井の四隅を眺めてみたけれど、やはり音響装置の類は設置されていないようだ。孤島に集められた、僕を含めて十名の招待客は、突然流れ出した「声」をじっと聴いている。「声」は壊れたカセットテープのような、ノイズが混じった途切れ途切れの言葉を乗せて、淡々とした調子でダイニングに押し広がっていく。『浜