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小清水志織
2022年1月23日 09:53
*第7話はこちらから殺意だ。殺意を抱かれたのは、生まれて初めてかもしれない。影が私の喉仏に向けて腕を伸ばしてくる。私は咄嗟に後退り、首の手前数センチのところで、相手の爪が空を切った。だが、私は水溜まりに足を取られて、身体のバランスを崩してしまった。硬い岩盤でできた詩碑に背中を強打して、一瞬意識が遠のく。その機会を逃さず、もう片方の腕がすかさず攻めてきて、ぐいと胸倉をつかまれた。成す術も
2022年1月9日 20:51
※第6話はこちらから一階のフロアへ降りたとき、私はちらと通路の奥にある文芸資料室の入口を遠目に見た。惜しいことをしたもんだ。あの部屋には文豪たちの遺品や原稿用紙などのオタカラがたくさん展示されている。せっかくお金を払ってきたのだから、これら資料も閲覧したかったのだが、兄が来ているかもしれないタイミングでは難しそうだった。人に気づかれないように舌を出して、私は受付に座る里子さんに会釈した。「