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股関節の痛みを解決するために大事な「背骨・骨盤の安定性」について股関節のドクターから聞いた知見をもとに考察してみた

臨床上よく経験するのが「股関節の痛みや違和感」。
特に股関節をグッと曲げておこなう野球や自転車競技の選手に多い印象です。

実際によく聞く症状としては

股関節を曲げたときに詰まる
踏ん張れない・ぐらぐらする
引っかかる感じがする
股関節を深く曲げたときに少し痛みがある・・など。

股関節はストレングスの世界では「パワーハウス」とよばれ、すべての動きの力源となる場所です。股関節がよく動き安定して力を出せる環境にしておくことがとても大事になります。

昨年までかかわっていた社会人野球の選手において股関節に何かしらの痛みや違和感を持った選手に共通していたのが「腰椎や股関節の不安定性」。その要素が痛みにかなり影響性を持っているなと感じています。

股関節の安定性を出す種目、たとえばクラムシェルやヒップリフト、股関節の外転運動などをやってもそもそも骨盤や背骨の安定性が担保されてないとうまくいかないなあ・・と感じることが多くありました。

股関節の安定性を高める・・?

セラピストとして気をつけて診ていた主な指標としては

①腰椎-骨盤リズム・骨盤-大腿リズム(骨運動の確認)
②腸腰筋・多裂筋の筋収縮
③背中の筋緊張

の3点です。

背中の張りがあったり股関節の硬さが出ていたりしたときにその「硬さをどう捉えるか?」がとても重要になります。

ほぐすことだけが選択肢にならないように見極めが大事になると考えています。

関節内インピンジメントを防ぐ「骨盤の動き」

股関節における生理的な「骨運動」を獲得することが関節や軟部組織にストレスをかけないために重要なポイントとなります。

肩関節に「肩甲上腕リズム」と呼ばれるものがあるように股関節にも「骨盤大腿リズム」「腰椎骨盤リズム」というものがあります。

ポイントとなる骨は

① 骨盤(寛骨)
② 大腿骨
③ 腰椎

の3つです。

これらの骨が股関節を動かしたときに協調的に動くかどうか?が重要になります。

そのなかでも特に「骨盤の動き」がポイントで、仰向けで股関節をまげたときに骨盤の「後傾」がしっかりと出るかどうかです。

また股関節が曲がっていくタイミングで「腰椎の平低化」が起きるかも大事な指標です。背中の筋緊張が強く股関節を曲げても腰椎が伸展位のままだと股関節に大きな負担がかかります。

腰椎骨盤リズムについて

先日股関節専門のドクターから股関節に関する医学的知見をお聞きすることができましたが、股関節を曲げたときに「骨盤の後傾がでるかどうか」が重要な指標になるんだそう。

腰椎骨盤リズムについて②

FAIをはじめとするインピンジメント症状において骨盤の後傾が「不良になること」がほとんどで骨盤の運動性を出すことがリハビリの重要課題になるとお話してくれました。

筋のインバランスを考える

骨運動を診たうえで重要になるのが「筋のインバランス」です。

「多裂筋」「腸腰筋」が骨盤・背骨を安定させているか?に着目して診ています。

腸腰筋の筋出力を確認したり股関節を自動運動をさせたときに骨盤がどう動くか?を診たり・・
多裂筋に関しても同じでちゃんと筋収縮が起きているか?を診ていきます。

筋のインバランスについて股関節のドクターからお聞きしてとても勉強になったことが

肩関節に「ローテーターカフ」と呼ばれる筋肉があるように股関節にも同様の役割を持つ筋肉があり、「関節包への付着」という観点からアウターマッスル・インナーマッスルの区別をおこなっていたことです。

【 関節包に付着する=インナーマッスル 】
・腸骨筋
・内閉鎖筋
・外閉鎖筋
・小臀筋
【 関節包に付着しない=アウターマッスル 】
・中臀筋
・大臀筋
・大腿直筋
・内転筋

このなかでも特に重要と考えていたのが「腸骨筋」であるということ。大腰筋と合わせた「腸腰筋」の筋出力を高めることがとても重要になります。

股関節の筋におけるアウターとインナー

以上の認識を持ったうえで

「単関節筋の強化に固執しすぎないように気をつけたいよね」

とお話していたのがとても印象的でした。

腸腰筋は大腿骨の前を走り関節包に付着することを考えると安定性に寄与するというのはすごく納得できますよね。

上下肢の運動が骨盤や背骨を安定させる筋群(多裂筋・腸腰筋・腹横筋・内腹斜筋など)との協調性をもってできるか?が重要になるんだなと個人的に思いを強くしています。

そのあたりの要素を無視して単なるエクササイズとして実施してもいまいちだなと感じています。

人間は最終的に立って運動をおこなう生き物ですから全身運動において協調性をもって動きを完遂させる必要があります。

そのため多裂筋や腸腰筋、内腹斜筋など骨盤を安定させるために活動する筋を考慮してエクササイズをおこなうことが重要だと感じています。

実際のリハビリにおいて

股関節のメニューに終始取り組んでいるがなかなか成果が出ない・・

というような感じ方をされているかたって多いのではないかと思ってます。

単に中臀筋の後部線維に入れればよい・・のような考えのもとでエクササイズをやる人を見ると「ちょっと違うなあ・・」と感じてしまうのが正直なところ。

股関節に関する医学的知見を聞けたことでじぶんがいままで診てきた方向性に妥当性を感じることができ「これで良かったんだな。これからも探求していこ。」という気持ちになりました。

クラムシェルなどの股関節のエクササイズが決して悪いわけではなく、今の認識としてはその運動をおこなう前段階の過程を大事にしたいなということ。

「股関節は不安定なもの」という理解をもったうえで股関節疾患に向き合えたらいいなと感じています。

それでは。










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