【ショートショート】蝉【創作】
夏、灼ける様に暑い日差しを避けるように木陰に入っている。近くの川から流れてくる風が程よい冷気を帯びて肌を冷やす。まるであちらとこちらを別けるように影とが境界線を造っている。覚めてきた頭でぐるぐると考える。先程まで元気に動いていた目の前のそれをどうするべきなのか、一番最善の方法を考える。ああでもないこうでもないと考える。近くの木では許さないとでも言うように夏の虫がけたたましく鳴いている。時折、ざああと木が風に吹かれ強く揺れる。意志を強く持った葉はしがみつき枝から離れようとしない