短編小説|部長のイス #2
2.失った大義
「部長、今週末のゴルフコンペですけどFチームの僕と交代してくれませんか?」
「なぜだ?」
「専務と営業室の室長も一緒じゃないですか、ちょっと提案したいことがあって」
本心は分からないが止める権利も必要性も感じないから承諾した。
その後、オレにはさっぱり理解できない社内のゴルフトーナメントに参加した。スコアは100、無難なところだ。
役員やその部下がボソボソと「何か」を話しながらゴルフに興じる光景は、健全な気持ちでプレイする気にはならない。オレ自身は終始口数