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【有料記事】住宅購入の際に知っておくべき不都合な真実(マンション編)

 普通の人であれば一生に一度の大きな買い物となる住宅。
 購入する理由は様々あれど、いざ購入となるとある種のハイな状態になって目が眩み、正しい判断が出来なくなるのも事実。夢が膨らむとともに現実がデフォルメされ、気が大きくなって最後は思わず清水の舞台から飛び降りてしまうが如く、えいやっとなる。
 購入した後で後悔しても時すでに遅し。

 そうならないために予備知識は必要ということで、販売会社は教えてくれなさそうな都合の悪い話を少々お伝えしておきたい。私自身は住宅建築や販売に関わる仕事をしているわけではないが、仕事柄そうした業界を垣間見ることがある。その経験から得た、ある程度汎用的と思われる情報を少しだけ披露してみたい。

 今回はマンション編。


買うまでが大変

賃貸より安い?

 今の賃料を払い続けるなら、それと同等の月額で自分の城が手に入ります。
 マンションを購入するかどうか考え始める時に誰もが通るのがこれ。
 どうせ住宅を購入するとなればローンを組むし、年数を長くすれば月々の支払いは少なくて済む。ローン支払いの途中で命を落とすようなことがあっても生命保険があるから大丈夫。そんな風に考えるだろう。
 しかし、冷静に考えれば分かると思うが、毎月掛かる費用はローンだけではない。管理費、修繕積立金、自治会費、駐車場代、それに火災保険や地震保険。これらが馬鹿にならない。しかも最初に決められた額がずっと続くという甘い考えを持ってはいけない。これらの金額はローンと違って将来上がっていくと思った方が良い。
 そして賃貸と違って分譲マンションは自分たち全員のものだから、何事も人任せにするわけには行かないし、気持ちよく住むためにはご近所付き合いが欠かせない。こうした目に見えないコストを見積もるのは難しいが、諸々合計すると賃貸より安く済むという幻想は捨てたほうが良い。

モデルルームという詐欺?

 分かってはいても騙されるのがモデルルーム。
 良く言われることだが、モデルルームにある家具はみんな普通よりもコンパクト。だから部屋が広く見える。そして何よりも、浮かれている自分の気持が部屋を広く見せてしまう。だからモデルルームを観る時は常に「実際にはこんなに広くないし、こんなにおしゃれじゃないし、こんなに良くはない」と心の中で唱えた方が良い。営業マンが得意げに紹介する設備も話半分に聞くようにした方が良い(説明が嘘なのではなく聞いた自分が過大に判断しがちだからだ)。
 今ではCGで合成した立派なパンフレットやイメージ映像があって、素晴らしい完成イメージが提供されるが、バルコニーの眼下に広がる眺望に夢を膨らませる顧客の背後でまた鴨が来たとほくそ笑んでいる営業マンはどれだけふんだくるかしか考えていないものだ。別に彼らが悪徳ということではなく、商売なのだから当然なのであって、むしろ騙される方が悪い。
 まずは冷静になろう。
 そして、モデルルームや営業マンの質が良かったからといってマンションそのものが良いという保証は無い。

大手だから大丈夫?

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