あなたの分身
googleでの履歴を見たことがあるでしょうか。これまであなたが検索したもののみならず、開いたサイトのアドレスが網羅されています。
サイトのアドレスとはサーバーにある特定のファイルの場所を記述したものなので、閲覧履歴はあなたがネット上で開いたファイルの履歴でもあります。
その全てがgoogleには記録されています。あなたのものだけではありません。世界中の人がネット上でどんな行動をしているのか、あなたしか知らないと思っている事もgoogleは知っているのです。
そればかりか、googleはあなたの地上での行動履歴やあなたが撮った写真や動画、あなたが写った写真や動画を知っています。
これはどういうことでしょうか。
これだけネットに依存している現在のことですから、きっとgoogleはあなたが思う以上に、あなたがどんな人物かを知っているはずです。もちろん裏の顔を含めてです。
こうした情報とAIを掛け合わせれば、きっとネット上にはリアルなあなたの分身が現れるでしょう。その分身はあなたが忘れてしまったことや忘れてしまいたい過去も鮮明に記憶していて瞬時に蘇らせることが出来ます。
あなたが生まれた時に既にgoogleが普及していたのであれば、googleはあなたの生い立ちを2分の動画に纏めることが出来るでしょう。小説にすることも出来るでしょう。
もし仮に、googleによって作られたあなたの分身を元にしてアバターを作るとしたらどうでしょうか。あなたが他の人には知られたくないことをうっかり言ってしまうでしょうか。それとも、現実のあなた以上にあなたらしく振る舞うでしょうか。
各種パラメーターを調整することで、そのアバターの振る舞いを変えることが出来るでしょう。あなたには無い要素を加えて、実物以上に凄い人を演じる事も容易いはずです。
これは夢物語ではありません。
既に今の技術と今まで蓄積されたデータで出来ることです。
googleが世界中の人々のリアルアバターを持ちうるとすると、何が起きるでしょうか。
人々をコントロールすることが出来るでしょう。実際にコントロールするとなればそれは、直接的なものではなく、極めて間接的で緩やかで、ほんの少しずつ変化させる様な操作になるでしょう。あなたが気づかないうちに浪費家になったり、特定の商品が好きになったり、特定の行動を好むようになったり、考え方のベクトルが変わったりするでしょう。
こうしたことはgoogleを持ち出すまでもなく既に起きています。googleはその中でも特に強大だというだけです。
ネット企業は情報を盗むわけではありません。あなたが差し出しているのです。スマホを買った時の設定画面では、同意をしなければ進めないポイントがあるはずです。アプリでも同じです。
私たちは同意ボタンを押すことに慣れすぎて、そこに書かれた注意事項を読む事をしません。自分を差し出すことについてすっかり無関心になってしまいました。それでなければスマホも使えずネットも使えず、便利なサービスを享受できないのですから仕方がありません。就職先で同意ボタンを押さずにパソコンが使えないと仕事が出来ません。同意ボタンを押す機会さえ与えられていないかも知れません。レジのバイトで自分の情報が記録されたIDカードの作成を拒めば、そのバイトは出来ません。あなたの履歴書に書かれた情報はきっと永遠に削除されません(見かけ上削除されたことになるだけです)。
こんな恐ろしい世界に生きながら、私たちは平気で暮らしています。いまや神よりも強大なネット上のデータに支配されているのに、無条件に受け入れざるをえなくなっています。
この先が楽しみです。
おわり
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