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ゲームシステム

 ゲームに慣れ親しんだ今の子供達は、ゲームシステムを把握するスピードと、順応速度が速くなっているという。
 ゲームには様々な種類があるが、どのゲームにも必ずあるのがルールを含めたゲームのシステムだ。例えば、ゲーム内のキャラクターを操作してマップ内を進み、出会った敵と戦って勝ち進むというのもゲームシステムの一つだし、落ちて来るブロックを回転させて最下段の隙間に入るように操作し、横一列がブロックで埋まるとその列が消え、列を消せずに上までブロックが埋まってしまったらゲームオーバーというのもゲームシステムだ。

 もうちょっと深堀りすると、各ゲームの攻略法もゲームシステムだ。なぜならあらゆる攻略法はそのゲームに特有なもので、意図したものかどうかは別として最初から埋め込まれているものだからだ。
 ゲームが上手いと呼ばれる人になれるかどうかは、ゲームシステムをどれだけ早く把握し、その世界に順応出来るかで決まる。そこで提供されている世界の中で究極の正解を見つけるための最短パスを見つけられるかどうかが鍵だ。

 この話は示唆的だと思った。
 与えられた世界と環境のルールの中で、自分の持っているスキルや獲得しうるスキルをいかに活用してより早くゴールに辿り着くかを競うのは、実社会の縮図でもある。出来合いの仕組みの中でより良く適合出来る事が安全と安心を手に入れられる方法だという社会の。
 与えられた条件の中で与えられた正解を短時間で探しだすためのスキルを身に着けることは、決して無駄なことではない。しかし実社会では、それだけでは解決出来ないことの方が多いことを忘れてはいけない。

 解決するための答えが必ずどこかにあるということはない。だから、正解のやり方や正しい解法を人に聞いても教えてもらえないことがある。なぜなら誰も知らないからだ。
 答えそのものを学ぶことよりも、答えに辿り着くための筋道を憶えた方が実践的だ。憶えた答えは一つの問にしか当てはまらないが、答えを導くための筋道は、あらゆる問の解決に役立つからだ。

 ゲームを通じてその向う側にある社会に飼い慣らされ、ゲーム内のルールを守らないという選択肢が有り得ないほどに従属してしまうと、人間はつまらなくなる。社会秩序のためには社会に従順な下僕が多い方が良いように思えるかも知れないが、実はそうではない。逆に無条件で従順な人が多ければ、その社会は不安定になる可能性が高まる。なぜなら、決められた正解以外は不正解とされる世界は、正解を踏み外した途端に転落してしまうからだ。

 ゲームシステムを読み解く力と同時に、そのシステムの外側に広がっている世界を強く意識出来るようになりたいものだ。

おわり

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