見出し画像

ネガティブ思考は連鎖する

 ひとつ気掛かりなことがあるだけで、そこに意識が引きずられる。それがネガティブな思考であればあるほど増幅される。
 失敗したなと感じることは悪いことではない。なぜなら人は失敗することを通じてしか成長出来ないからだ。成功は失敗を避け続けた先にあるのではなく、失敗をすることを通じて失敗の居場所を把握することでしか成功を見出だせない。もし失敗無くして成功に至っても、その先に待っているのはさらなる成功ではなくて大きな失敗だ。

 少々危険な実験だから普通はやらないほうがいいが、失敗した時に「駄目な自分」というレッテルを貼ってみるとネガティブ思考が連鎖することが分かる。何か上手くいかなかった時に「やっぱり自分は駄目だな」と呟いてみて心の中の動きを観察してみると良い。上手く行けば、失敗したことと「駄目な自分」が結び付けられて「失敗する駄目な自分像」が生成される。そうなると、今さっき失敗したこと以外のネガティブな記憶が芋蔓式に想起されるはずだ。こうなれば「失敗する駄目な自分像」は勝手に強化されて行くから放っておいても嫌な気分になれる。
 この実験は間違っても弱っている時にやらない方が良い。下手をしたら戻ってこれなくなる。
 
 その逆に、この仕組みを利用する手もある。
 失敗とまでは言えないことを切っ掛けに、駄目だなとふと呟いている自分に気が付いたら、その代わりにこう呟くようにすれば良い。「別に大した失敗じゃないし、自分が駄目だからこうなったのではない」「仮に失敗だとしてもこれは成功するために必要なことだ」と。まずは、失敗と自分を因果関係の同一ライン上に置かない事が大切だ。

 ネガティブ思考は習慣だから、そこから離れるのは難しい。ネガティブ思考に慣れている人は、いつもネガティブ思考の連鎖の渦の中にいる。だから別の世界を想像しにくいだろう。だからこそ、そこから脱出するには言葉が必要だ。失敗を成功に繋げていくための呪文と思えばいい。ポジティブな言葉が必要な理由はそこにある。

 失敗に飲み込まれた状態から脱出出来たら、今度は失敗を客観視しよう。
 抜け出る際は「大した失敗じゃない」と言ったが、そのままでは失敗を軽んじるだけになって再び同じ失敗を犯すことになる。だから、一旦離れた地に辿り着いたら振り返って冷静に失敗を観察し、受け容れることが必要だ。もし冷静に見られないとしたらまだ距離が近すぎる。その時は、もう少し離れてからでいい。

 放って置いても連鎖するネガティブ思考とは違って、ポジティブ思考は勝手には連鎖しない。いつもの自分がポジティブでいるためには、常に念じ続ける必要がある。気掛かりなことを見つけたら距離を取って俯瞰する習慣を付けることで、ポジティブ思考の念仏を唱え易くなることを思い出そう。

おわり


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?