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再生可能エネルギーは再生可能か? その5

前回ようやくタイトル回収して、やっぱり「再生可能」というのは表記として微妙だよなと思ったとこだった。

この話は終わりで良いのだが、ひとつ私の中で引っ掛かることがあったので、今回はその話。

本来の意味とは少し違うのに敢えて「再生可能」という言葉を利用しているとすれば、そこには地球環境への意識が関係しているのではないかということだ。
そうだとすれば、再生可能エネルギーを利用することで環境的にメリットがなければおかしい。

これまで本稿で見てきたことから考えると、再生可能エネルギーの利点は、再利用することではなく使い捨て出来ることにあるそして、使い捨てをしてもその事自体で環境負荷が上がらない点にある。化石燃料の場合は、エネルギーを得るには燃やすことが必要であり、燃やすことは環境負荷が高いと言われている。
では、再生可能エネルギーの利用での環境負荷はどうなんだろうか。

例えば、太陽光ではどうだろう。
太陽光発電の場合、地上に降り注いだ太陽光の一部をソーラーパネル(太陽電池)によって電気に変えるのだが、利用された電気はどうなるのだろうか。
太陽光に限らずどの電気でも同じだが、電気は色々な仕事に使われ最終的には熱エネルギーになる
太陽電池が使用する光の波長はリモコンなどに使われているのと同じ近赤外線であり、光として地上に注いだエネルギーが全て熱に変わるとすれば、電気としてしようされようがされまいが、熱量としては変わらないはずである。
そうだとすれば、太陽光を電気として使っても、使わなくても、そのこと自体での地球上の熱量収支は変わらないということになる。
つまり熱に変わることによる環境負荷は変わらない。

風力はどうだろう。
風は、大気の熱的不均衡によって生じる。
地球上では相対的に温かい空気と冷たい空気が偏在しているため、熱的に均衡しようとすることで空気の移動、すなわち風が吹く。
この風を風力発電で電気に変えると、最終的にはこれも熱になる。
もともと熱の不均衡によって生じたエネルギーが熱に変わる分には、地球上でのエネルギー収支が変わらないはずだ。

風に影響している力として熱的不均衡の他にも地球の自転が挙げられる。
そうだとすれば、つまり、もし風を利用することで自転のエネルギーを熱に変えているとすると何が起こるか。自転エネルギーが減り、地球上の熱エネルギーが増えることになる。
しかし、自転による風への影響は転向力(コリオリの力)という見かけの力なのでエネルギー的には寄与しないなずなので、風力発電によって自転に影響することは無いと考えて良いだろう。

一方で、再生可能エネルギーではないエネルギーはどうだろうか。
いわゆる化石燃料を燃やしてエネルギーを得る場合、御存知の通りその燃焼過程で窒素酸化物、硫黄酸化物、二酸化炭素など様々なガスが発生する。これらのガスの多くは、人間の住む環境に対して悪影響を及ぼすものとされている。
つまり環境負荷が高いと考えられる。
公害のひとつであるぜんそくは化石燃料を燃やした結果生じたガスによるものであり、二酸化炭素それ自体は低濃度であれば人体に悪影響があるものではないが、地球温暖化に寄与しているとされており、その意味で二次的に環境負荷となるものと言える可能性がある。

要するに、再生可能エネルギーという用語は、環境負荷を低減するという文脈でこそ生きてくるものであり、地球環境問題を考える上では欠かせないものとなったと思われる。

ここまでで、少なくとも太陽光発電と風力発電についてはエネルギー上での環境負荷増は無さそうだと分かった。これは改めて考えるまでもなく、エネルギー保存則を前提にすれば当たり前のことかもしれない。
やっぱり再生可能エネルギーは環境負荷が無くて良いじゃないかということになりそうだ。

ただし、発電所の設備単価という観点で見た場合、再生可能エネルギーは化石燃料エネルギーである火力発電所に比べてかなり分が悪いようだ。ここで言う設備単価とは、例えば1kW当たりの建設コストといったように、一定量の電気を作るために必要な設備の金額のことである。

建設コストが高いということは、それだけ建設時に発生している環境負荷が高いと言える。どちらかというと火力発電所よりも太陽光発電や風力発電の方が量産効果でコストが抑えられるはずなのに建設コストが高いのだ。
それは、建設コストのみならず、1kWh当たりの発電コストにしても同様で、火力よりも太陽光や風力の方が高い。だから再生可能エネルギーでの発電コスト増分を毎月の電気代に上乗せされている

再生可能エネルギーは本当に環境負荷が低いのだろうか。

つづく

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