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キーボートとマウス

実は最近まで私は「猫背」を誤解していた。

背中が丸い状態を猫背と思い込んでいたのだが、それは結果であって、どうやら実態は肩甲骨が前方に出た状態のことを指すらしい。

ふむ、と思いたまたま近くにいた愛猫を引き寄せ、(嫌な顔をしているが)上半身の腕の付け根辺りに手を伸ばす。そういえば猫には肩がないなぁなどと思いながらモフモフの背中をまさぐっていると、肩甲骨らしきものに手が触れる。
肩甲骨らしきというのは、形や位置は肩甲骨なのだが、向きが人間とは違うのだ。人間の場合は肩甲骨は左右に広がっているというか、左右方向に割と平面的になっているが、猫が直立したとすると、猫の場合の肩甲骨は左右ではなく完全に前方に向かって伸びているのだ。

触りながら突然私は気づいた。

これこそが猫背か。と。

肩甲骨が前方に出るように肩を巻き込んで背中が丸くなるのが猫背なのだ。

そりゃ猫だからな、と変に納得して猫を開放してやった(いつものように走って逃げ去った)。

PCのマンマシンインターフェースのうち、入力デバイスは長らくキーボードとマウスの時代が続いている。マウスの代わりにトラックボールなどが使われることがあるが、圧倒的にキーボードとマウスの利用者が多いだろうと思う。

ビジネスでのPC利用は一般的であるから、殆どのビジネスパーソンがキーボードとマウスを使っていることになる。

昨年、突然の右肩の激痛で夜も眠れなくなって以来、針や整体院に通うことが日常になった今、改めてキーボードとマウスでの作業は身体に悪いということに気づいた。

キーボードを操作している光景を思い浮かべるまでもなく、PCの前で人は両手を前に差し出した姿勢を取る。自ずと両肩が前に出る形になり、前傾気味になる。つまり猫背姿勢になる。これでは肩が凝るわけだ。
人間の両腕は下に向かってだらんとぶら下がっている状態が自然であって、猫のような姿勢は不自然ということか。同じ哺乳類なのにと、変なところで人類の進化を感じる。

身体に良いモニターとキーボードとマウスの理想形はあるのだろうか。
これらのデバイスから逃れられないとすると、何とかして良い利用方法を探る必要がある。
両手を前に出す姿勢がいけないとなれば、だらんと腕を垂らした状態でキーボードとマウスを操作出来るように配置するのが良いということか。

想像してみた。
両手を垂らした状態で入力操作出来るデバイスを。

両手を垂らした状態で入力が出来るということは、何も座った姿勢である必要もなく、寝た状態でも良いのではないか。すると、モニターの位置の方が問題になる。もっとも、可動式ディスプレイスタンドを利用すれば解決出来そうなので、モニターはさして問題ではないのか。


と、身体に良いことを追求しよう思案する過程で、オフィスの皆が仰向けに寝そべってPCを操作している光景が私の頭に浮かんでしまった。

そんな異様な未来を想像してしまうと、せっかくの人類の進化やデバイスの進化が、回り回って人類の退化に繋がりそうな感じで少しゾっとしたので、こんなことを考えるのはもうやめよう。

なんだか私の整体通いは暫く続きそうな予感がする。

おわり

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