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縦と横

 日本語は縦書き、英語は横書きというのは昔の話。今では日本語も横書きが多くなった。このnoteだって横書だ。
 英語の場合、言葉の音を表す単位である単語が複数のアルファベットで表されるから、縦に並べると読みづらい。その点日本語は一文字ごとに音が当てられている(音節になっている)から、縦でも横でも読みやすいということになる。便利な言語だ。

 読む時の視線の動きについてはどうだろうか。縦に動かすのと横に動かすのは、どちらがスムーズなのだろう。目が横に並んでいるのだから横に動かす方が良いようにも思えるが、二つの目の視差を考えると、横に動かす時は左右それぞれの目の動きを連動させるのは案外難しい気がする。縦に動かす場合は単純に目玉を上から下に動かせば良いから簡単だ。そんなことないか。

 今や仕事で使われる文書は全て横書きと言っても過言では無い。それなのに、新聞や書籍は多くが縦書きだ。これはどうしてなのだろうか。単に古い慣習のままということなのだろうか。
 ワープロだって、縦書きモードは使いやすそうには見えない(使ったことが無いから分からない)。英字新聞は横書きなのだから日本の新聞が縦書きに固執する必要性はあまりないように思える。書く側は別として、読む側はどうだろうか。ある時急には横書きになったら不買運動でも起こるのだろうか。
 新聞の編集には全く詳しくないが、横書きは縦書きのような複雑な多段数のレイアウトには向いていないらしい。
 そもそも、縦書きの方が目を走らせる速度が遅くじっくり読んでもらえるのだという。横書きは早いかわりに読み飛ばしが起こると。せっかちな私は速く読めるほうが良いと思い込んでいたが、そうでもないということか。

 ところで、現在は左横書き(左から右に向かって読む横書き)だが、戦前は逆の右横書きが主流だった。縦書きが右から左に向かって進むのと同じ理屈と言われる。
 ところが戦後、新生日本を象徴するものの一つとして新聞に左横書きが導入されたらしい。英文の組み方に倣ったと言うわけだ。確かに右横書きの文章に英単語を入れるとそこだけ左横書きになってしまってチグハグだ。

 今となっては横書きは左から右進むものと思い込んでそれに慣れ切っているので、戦前のような右横書きが読みやすいのかったのかどうかを正しく把握することは出来なさそうだ。
 縦書きか左横書きか、はたまた右横書きか。どれが一番読みやすいかは慣れの影響が大きそうだから、あとはデザイン性に尽きるということだろうか。

 それにしても、いつか下からの縦書きが出て来ることを期待したい気持ちを抱いているのは私くらいだろうか。

おわり


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