見出し画像

価格高騰と景気の空模様

 資源・資材・原料価格が上昇し、電気・水道も上昇。販売価格への転嫁は遅れるから、資源価格が倍になっていても私達が購入する価格は3割増し程度に抑えられている。
 それでも奇跡的な資源価格反転が無ければ早晩価格に反映されるから、来年辺りには色々なものの価格が2021年の倍になることも想定しておかねばならない。

 物価高は住宅や自動車など高額商品の買い控えになり、それはさらなる日本経済の低迷を招く恐れがある。
 さらに、インフレ抑制のために日本でも来年には政策金利を上げざるを得なくなるとの見方もあり、そうなれば住宅ローンなんてとても組めなくなるから、一層厳しくなるだろう。

 某国の中央銀行総裁が言ったことを、庶民感覚が無いと非難するほどマスコミや国民の金融リテラシーは低下しており、政府は政府で正しい理解を求めるのではなくその非難を無条件で受け入れる程に国民を舐めきっている。
 中央銀行の視点でいう家計の値上げ許容度は、個別の家計の話でないことは分かりきっているのに、見当違いな揚げ足取りに終始するのは論点のすり替えに過ぎない。
 国レベルの鳥瞰視点でどう分析するかが金融政策決定において重要であって、ひとつひとつの家計や企業会計の積み上げで決めるのではない。中央銀行や政府の仕事は、市中に出回るお金の総量をコントロールすることでその内外的価値を維持することだ。家計の金の量をコントロールすることではないし、その手段を持たない。総裁の個人的な感覚で政策を決めているのでもない。

 苦しんでいる国民が耳にするのだからもう少し表現を考えて欲しいと言うのは分からなくないが、国民を苦しめているのは中央銀行よりもむしろ政府の方であって、今回の件で政府はまんまと国民の悪感情を中央銀行総裁に押し付けたという訳だ。選挙が控えているんだから総裁そのへん上手くやって下さいよ、という訳だ。

 政府は本質的に重要なことから目をそらさせることに長けていて、国民も周囲に同調しやすいから、週刊誌ネタを提供してやれば国民は容易に流される。こっちを睨んでいる人を追い払うには、あっちの人があなたの悪口を言ってましたよと教えてあげようということだ。
 それを聞いて、何だと、けしからん! と何も考えずに踵を返すのだとしたら、これほど扱いやすいものはない。そのことに早く気付いたほうがいい。
 ワイドショーの司会者意見やコメンテーターの言うことにいちいち、そうだそうだと合いの手を打つのではなく、あなたの考えを持った方が良い。
 日本ではみんなと同じ考えであることが尊いとされ、そこから外れた言動は疎まれるから、自分の考え持つのは、なかなか難しいかも知れない。しかしそんなことでは何も変わりはしない。

 もしかしたら、ことが起きてから大変だ大変だとバタバタするのが好きな国民性なのかも知れない。そういうときに、一致団結や絆と言ってさらなる同調性を高めることが、災害国を生き延びるのに役立ったのかも知れない。
 その陰で異質なものを排除することの常態化払拭は容易ではなく、女性の社会進出を妨害する遠因になっているのだろうか。

おわり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?