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再生可能エネルギーは再生可能か? その4

ここのところ再生可能エネルギーについて取り上げていて、前回は、再生可能エネルギーの特徴について考えてみた。

そろそろこの記事のテーマの再生可能エネルギーは再生可能か? という点についてもう少し踏み込まないといけない。

再生可能エネルギーが文字通り再生可能なエネルギーを意味しているのではないことは「その2」で取り上げた。「再生可能」は英語のrenewableを翻訳したものだが、再生と表記すると少し意味合いが違ってしまうように思われた。
renewable は使ってもすぐに補充されるというような意味だった。


今回は、再生可能エネルギー、つまり、化石燃料由来のエネルギー以外のエネルギーは、物理的に再生可能なのかについて考える


再生可能かどうかを考える場合、 再生という言葉の意味の定義によって少し違ってくる。
つまり、使ったものの再利用、すなわちreuse(リユース)と捉えるか、蘇るという意味のreborn(リボーン)と捉えるかで意味が違う。再び生きるというとrebornのようだが、再び生かすというとreuseという趣だ。
どちらにも共通な要素は、一度使ったものを何らかの形で使えるかということで、reuseの発展型がrebornと言えるかもしれない。
というわけで、ここでは一度使ったものをもう一度使えるかどうかという意味を検討したい。ただし、使ったものの残りや余りを使うというのは単なる有効利用なので、これは除外して考えた方が良い。

<太陽エネルギー>
太陽光の場合、エネルギーは高エネルギーの宇宙線として地球に届き、地球の大気を通過する過程で生物にとっての有害成分が緩和され、主に光として我々のもとに届く。一般的に光とは可視光線のことであるが、ここでは紫外線、赤外線を含んで考える。
この光のエネルギーを人が利用する方法は主に2つある。

①光の持つエネルギーによって水などを温めて利用する
②光の持つエネルギーを直接、電気に変えて利用する

どちらも光が持つ電磁波エネルギーの一部を利用するものである。
太陽光は太陽がある限り自然と無償で提供され続けているもので、確かにrenewable、つまり使う使わないに関わらず補充され続けるエネルギーである。

では、太陽光エネルギーは再生可能だろうか。
一度使われた太陽エネルギーは、利用される際に別の形のエネルギーに変換されている。変換されることで元々あった太陽エネルギーはなくなってしまうので、これをもう一度使うということはありえない。

<風力エネルギー>
風力エネルギーは、専ら風の力でウィンド・タービンを回して発電することに利用されている。
風の力で電気を起こす、いわゆる風力発電だ。
これはもちろん、風の一部を利用するものなので、使わなかった余りを他のところで利用することは出来る。しかし、使ったもの、つまり電気に変換されたものを再び風力エネルギーとして使うことは出来ない。

<その他のエネルギー>
太陽光や風力以外の再生可能エネルギーは沢山あるが、使ったエネルギーをもう一度使うことは、そもそもエネルギーの性質上出来ない。もし、再利用しようと思えば、使った分以上のエネルギーを投下する必要がある。


要するに、エネルギーという物理量の観点から見ると、再生可能エネルギーは「再生可能」ではないと思われるという結論になりそうだ。


言葉の定義上も物理的にも再生可能エネルギーは再生可能ではないのだから、やはり再生可能エネルギーという名称は適切ではないと思った方が良いのかもしれない。
ただし、使い捨てエネルギーとでも言おうものなら、これまたイメージが悪すぎることは間違い無い。たとえ実態がそうであったとしても。

つづく



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