⑪ 他7個で指導すべきこと(4個目6個目について)

4個目は「『なか』を対比的にする」こと、6個目「『まとめ』を対比的にする」にこととなります。以下、その意義を考えていきます。

基本文『ぼくのお父さん』はもとより、今まで学習してきた「なか」は同質列挙でした。つまり、「おわり(まとめ)」の帰納的根拠となる具体的な事実のみを列挙してあげるというものでした。

この同質列挙で位置づけられた「なか」に、対比的な「なか」を加えることによって、同質の「なか」はより強調されることになります。マグロの赤身のお刺身のパックには必ず緑のバランが入っているのと同じことです(注意を表す道路標識は黄色地に黒で絵が描かれているのも同じです)。
同様に、最初に位置づけられた「まとめ」に対比的な「まとめ」を加えることによって、最初の「まとめ」はより強調されたことになるのです。

基盤となる1・2・5個目の技術を用いて『ぼくのお父さん』は以下のように「むすび」が強まり説得力が増しました。

「な か」①昨日は遠くまででかけたので帰ってきたのは夜遅くでした。
「な か」②今日は荷物の積み込みがあるので朝早く出かけました。
「な か」③明日はいろいろな所へ行くので泊りとなり帰ってきません。
「な か」④先月は土日も仕事に行って3日しか休みがありませんでした。
「な か」⑤たまの休みは家の壊れたところや車の修理などをしています。
「小おわり1」毎日毎日とてもよく働きます。
「な か」1⃣たまの休みは疲れているのにぼくと遊んでくれます。
「な か」2⃣泊りの時はいつもおみやげを買ってきてくれます。
「小おわり2」お父さんはとてもやさしいです。
(「大おわり」お父さんは立派な・手本とすべき大人です。)
(「むすび」ぼくも大きくなったらお父さんのような大人になりたいです。)

これに4・6個目の技術を用いて、以下のような対比的な「なか」と「小まとめ」を、上記の「小おわり2」の前に加えてみます。
*加えるところを強調文字にしました。

「な か」❶お年寄りからお金を騙しとったニュースを見ました。
「な か」❷自分の子供を虐待して死なせたニュースも見ました。
「小おわり❸」どちらもお父さんと同じ年齢の大人が犯した犯罪です。


このようにすれば「大まとめ」の「お父さんは立派な・手本とすべき大人です」がより強調されたことになります。そして、より「むすび」の説得力が増したことになるのです。

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