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DXを阻害するもの

DXとまでは言えないが、数か月前に自社の某課より案件の進捗状況をイントラネット上で公開するサービスを立ち上げて欲しいとの要望があった。さっそく要件の提出を依頼するも数か月音沙汰無く、とうとう某課の上長である部長より督促があった。しかたなく私自身が某課に出向いて資料を受け取り、パイロット版を作って公開したが、本番環境に公開するかの返答もなく1カ月が経過。埒が明かないので某課と部長に連絡して公開すると、今度は仕様変更を某課から言ってきた。口でしか要件を言わないので、危険を感じて、現在督促してきた部長に作成することになった背景や要件を直接ヒアリングに行って再作成したところだ。

部長へのヒアリングで明らかになったことだが、社内の10名程度の関係者への案件進捗報告が年単位で滞っており、部長が業を煮やしてシステム課に依頼するように言ったようだった。だが、ここに問題がある。対象者が多いならともかく、10名程度の相手に案件進捗を報告するならEメールでも可能だろう。つまり、進捗報告がなされないのは棒課の情報更新の問題であって、情報を共有する仕組みがないからではない。それが、いつの間にか仕組みがないからという論理にすり替わっている。どんなシステムを持ってこようと正しいデータを入力できなければ役に立たないのは当たり前のことだが、人的な問題をシステムにすり替えることが横行し、たいして必要性のないシステムが無駄に作らていく。

ここで、はっと気が付いたのが、こういったIT弱者な社員のために色々な会社でこういったことが繰り広げられているであろこと。今回のようにIT関係の話を受け付けない社員が課長職などを務めているならば、その部署は亀のごとくシステムの導入が遅れるだろうから、とてもDXどころではないだろう。つまり多くの「希望退職」を実施している企業はDXを行うために、こういった層を退職金を積み増してでもカットしなければならなくなっているということではないのか。高額な賃金よりもIT弱者の方がより大きな理由なのではないかと思ってしまう。

まぁ、「おまえIT弱者だからクビ」とか出来ないので、45歳以上は希望退職なんて乱暴な話になっていると考えると、IT弱者じゃない人はとんだとばっちりだ。今回の話の某課長も、なんでシステムの説明すると枕詞のように「私判らないから」を連発するのだろう。要件定義させられるシステム部門から見ると、まるで介護のようで憂鬱なんだよ。

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