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The Personal is Political

個人的なことは政治的なこと。フェミニズムのスローガンとして知られるこの言葉を初めて知ったときにすっと腑に落ちたことを覚えている。では、ここで言う政治的とは何か。コトバンクで「政治」を調べると、デジタル大辞泉では、いわゆる『まつりごと』に加えて、『ある社会の対立や利害を調整して社会全体を統合するとともに、社会の意思決定を行い、これを実現する作用。』とある。つまり、個人的なことと小さくみられてしまう問題も実は社会と繋がっている、という風に私は捉えている。

そのように誰かの個人的なことは社会と繋がっていることがわかっていても、自分の個人的なことが社会と繋がっていることに気づけなかったりするものだ。

個人的な問題

私の両親は2011年3月11日の東日本大震災で被災した。10日間余り避難所を転々とし、近くの方の携帯電話を借りて私に電話をかけてきた(発災後すぐに東京から電話をしても繋がらず、両親は携帯を持っていないので、連絡を来るのを待つことにしたのだった)。その後私は東京から両親を迎えに行き、両親は東京に移住することになった。

事実はこうだが、両親が移住した後で私の個人的な問題がいくつか続く。当時私は、国際協力のNGOにボランティアとして関わっていた。仲間の何人かは東北にボランティアに行った。毎月通い続けた仲間もいた。私は落ち着いたら何かやりたいと意気込んでいたものの、病気、入院、手術と続き、術後は職場と家を往復するので精一杯だった。無力さを感じた。そして、様々なインプットが出来なくなった。特にアート作品を見るのが辛くなった。被災地の「焦土」(津波と火災で黒焦げになった様子は焦土という他はなかった)を見たときに、これ程凄まじい光景をもう見ることはないだろうと感じたのだが、そのせいか美術館のような場所で作品を見ていると妙に居心地の悪さを感じることが多くなった(ちなみに、アートを見た際の居心地の悪さは2015年くらいから解消されてきているが)。

上述した『個人的な問題』についてほとんど人には言ったことがない(夫と当時通っていた心療内科の医師には言ったと思う)。だって個人的なことだし、心療内科の医師に言われたように、できないことを考えてもキリがないし、それ以前にできたこと(両親の移住、病気と仕事とボランティアの両立など)を自分の中で評価すべきだから。

個人的なことは政治的なこと

「個人的なことは政治的なこと」というスローガンをちゃんと知ったのは、実は昨年。それ以来、この言葉がふと頭に浮かぶことが度々ある。記事の冒頭に「社会と繋がっているという風に捉えている」と書いたが、今年6月29日のブログの中だった。それはニューヨークのBLMのデモでのメッセージTシャツについて書いたブログで、ブログの最後に、The Personal Is PoliticalのTシャツを作りたいと書いた。そしてようやく私の『個人的な問題』もこのスローガンにしたがえば、これが社会と繋がっていることを認識した方がいいのかもしれないと思えるようになった。

上記ブログ記事にも書いている通り、今年に入りTシャツにまつわるアレコレをやっているのだけど、その一環で、空と雲と紙のTシャツを写真に収める投稿をたまにしている。その意図を7月28日のブログの中に「こうしている間にもBLMのデモや香港の民主派弾圧など様々なことが起きているのかと。そういう意識を持ち続けたくて」と書いた。そして、同じ時期、日本では九州や中部地方などに集中豪雨が襲っていたのだった。

私の『個人的な問題』はここに繋がっているのか。だから空と雲を撮っているのか。この行動を社会に投影したい。そう思い、ドネーションTシャツの販売をすることにした。

Under The Same Sky

毎年大きな災害が起こる今日。同じ空の下で(Under The Same Sky)『出来事』が起こったことを、Tシャツを通して思い出せるように、というのが企画の成り立ち。通年でドネーションTシャツを販売し、寄付先は毎年検討する予定。9年間のもやもやが何かに繋げらそうで、そして、もやもやを切り捨てないでよかった。また一方で、なんらかの出来事に縁がありながらも無力感を感じている人は私だけではないはずだ。そういう人々には、個人的なことは社会に繋がっていることを伝えたい。

Tシャツ製作などまともにしたことがない。Tシャツもオリジナルではないし、数多くの中から選んだわけではない。当面は注文生産の形態でリスクを少なくしてやってみようと思っている。そのような現状は人から見れば甘いと思われるのだろうと思う。だけど、今やれることがこのやり方であり、それでもやりたいと思った。Tシャツのデザインは知り合いのアート関係の方々にもお願いし、もっと広げていきたいと思っている。そんなことを最低10年は続けようと思っている。

ドネーションTシャツの特設ページは以下のURL。このページに足りないのが企画の背景だなと思い、まずはnoteに書いてみた次第。これをまとめたものを後日特設ページに掲載する予定。
そういう訳でして、よろしくお願いします。

https://air-t.info/charity-tshirts-under-the-same-sky/

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