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3.11から10年 日にちに託す

「FISSION and FUSION(分裂と融合)」という展示が3月に開催される。

東日本大震災から10年の年に展示を行う、という構想を聞いたのは昨年11月頃だっただろうか。私が今参加している後藤繁雄SUPERSCHOOL online A&Eの個人面談のことだった。それに賛同して、また、今行動しなければ次の10年後になってしまう、そういう思いで関わらせてほしいと思った。

306号室で開催する意味

後藤さんから展示の構想をお聞きしたときにまず思ったのは、306号室で開催したいということだった。理由は最後に書くが、その前に自分のことを書いておきたい。

私の家族は石巻で被災した。以来、震災の話題が自分に向けられたときに、それを敬遠したいと思うことが多くなった。うしろめたさ、罪悪感、他者の目などを過剰に意識してしまうからだ。言い換えると、震災によって新たに与えられた当事者性のようなものに慣れることができないからかもしれない。

このような展示に参加することは、私と当事者性を考えたときの補助線となり得るのではないか。そして306号室の会員には、私同様に家族が被災したという経験を持つ者もいる。私は、そのような会員にもどうしても声をかけたかった。

奥野ビルは関東大震災の復興住宅として建設され、開戦、終戦、戦後を経てきた。長い時間の流れを感じさせる306号室で、ポスト・フォトグラフィーと当事者性はどのように反応するのか。そこに、306号室プロジェクトの会員としてこの部屋で開催する意義を感じている。

日にちに託す

上述した通り、震災について自分のことを語るのはできれば敬遠したいのだが、何かの理由付けがあるとできるのかもしれない、そう気付いたのは昨年夏のことだった。

その昨年夏、オンラインのTシャツショップ・AirT THE SHOPを開設した。売上の一部が被災地域へのドネーションとなるTシャツも扱っている。そうであるならば、自分と震災について触れないのは不自然なので、いくつか書いてみた。が、なかなか書き進められなかった。その際に、ふと思ったのは、9月1日をショップ開設日にすることだった。9月1日は関東大震災が起こった日だ。自分の気持ちを日にちに託すことで一歩を踏み出せるのかもしれない、そう思えた。

上に紹介した後藤さんのステートメントは昨日投稿されたものだ。昨日1月17日は阪神淡路大震災から26年目という日だった。後藤さんが日にちを意識したのか確認していないし、偶然の一致かもしれない。が、私にとっては、この日に発表されたことが意味を持つ。

「FISSION and FUSION(分裂と融合)」は3月10日から15日まで奥野ビル306号室で開催される。3月10日は東京大空襲の日。そういえば10年前の3月10日は(厳密に言えば9日から10日にかけて)、私は空襲にあったエリアを歩いていたのだった。戦災資料センターで空襲にあったモノを見て、すみだ郷土文化資料館で生存者の証言を聞き、東京都慰霊堂で石川光陽氏らが撮った空襲被害の写真を見た。その次の日に震災が起こるなど思うはずもなく。

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(上記記事中で触れたテキストは以下)


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