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Drama Hall×コメディアス VR演劇『ほんとうのわたし』

今回こちらの企画に制作スタッフとして関わらせていただきました
制作スタッフという肩書は演劇畑では今回の私の担当したお仕事をそういった名称で呼ぶということで名乗らせていただきました
そしてそうした形で関わらせていただいた今回のお芝居が無事終劇するまでの知っているところを残しておきたいと思ったものがこちらになります
その場で味わった感情を残したいと思っているのでいつも以上の乱筆乱文になりそうですがお付き合いいただけたらと思います

コメディアスさんのお芝居に関わることになったきっかけは一昨年(2019.12)の年末にかの有名なVR蕎麦屋さんことタナベさんからお誘いいただいたVRChatの運営チームとの懇親会に参加したことからになります
この時二次会と称して終了後近くのファミレスでお茶をしたのですが偶然席を一緒させて貰ったのが他でもないコメディアスさんの劇作家であり演出家でもある鈴木あいれさんでした
趣味としてお芝居を観劇することが好きだったのもあり実際にお芝居をされている方と話が出来ることに興奮して捲し立てていた記憶しかありません
(当時開催したばかりだった自身のイベント「深秋音祭2019」が終わったばかりだったこと、素人お芝居ですが芝居仕立てのファッションショー「VirtualCollection Stage0 仮想人形乱舞活劇」をやっていたこともありその話を語りまくっていた記憶しかありません)
この時はあくまでそういった出会いがあったというだけでその後VRChatで会ってお話をすることなどもなく終わってます

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それから時が経った2020年のある日VRChatの友人skknさんからお誘いを受けました
それは「友人がVRChatに面白い劇場のWorldを作ったから見てみない?」といった内容だったかと思います
そこでそのVRChatWorldの作者Tosiakixさんを紹介して貰い実際にその劇場ワールド「DramaHall」を案内して貰いました
このDramaHallというVRChatWorldは実際に存在するような小規模の劇場を再現したWorldで、舞台や観客席はもちろん実際にお芝居に使える大道具などを出し入れ出来る装置などを含め物凄く良く作りこまれたものでした
実際Tosiakixさんはお芝居にも関わっていたこともあるということで、劇場そのものの造形も本当に良く作られていました
既に一度こけら落としとしてそこを利用してお芝居を上演したこともあるということでした
(因みにskknさんはこの劇場で利用している暗転などの効果を制作されています)

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WorldをTosiakixさんに案内をして貰いながら思い出したのは鈴木あいれさんのことでした
その時は実際に現実でお芝居をする方にこのVRChatに存在する劇場を見て貰いたい程度の気持ちだったかと思います
早速懇親会で交換していた名刺を引っ張り出し鈴木あいれさんにTwitterで連絡を取りました
鈴木あいれさんは普段からVRChatを楽しんでいることもあり「是非見させてください」との返事をいただき、Tosiakixさんとskknさんに連絡を取って改めて一緒に見学させて貰えることになりました
こうして鈴木あいれさんはAireさんとなりVRChat内ではじめてお会いすることになりました

VRChatのDramaHallに4人で集まってTosiakixさんに造形のこだわりや舞台の裏側にあるお芝居のための装置の説明を実演して貰いながら思ったことがありました
それは2019年末に開催した深秋音祭で会場となったVRChat内のライブハウス「V KITAZAWA AWAKE」のことでした
このVRChatに存在するAWAKEはWorldビルダーのコクリコさんと運営をするYAMADAさんをはじめとする関わっているクリエイターの皆さん方のこだわりと技術が詰まった素晴らしいライブハウスです
そのAWAKEのこけら落としイベントとなる深秋音祭はVRの中で開かれた音楽ライブイベントだったのにも関わらずライブハウスの空気感、出演者や観客の熱気などを感じられるものでした
AWAKEはライブハウスなので音楽を演奏するためのハコですが、DramaHallはお芝居をするための劇場です
目的は違うもののどちらもそこで音楽ライブなりお芝居なりが上演されてはじめてその良さが生まれる施設です
深秋音祭で感じた空気感をこのDramaHallでお芝居を上演したならば再び生み出せるのではないかと思ったのです

実際にDramaHallを見て設備を動かしながらAireさんをはじめTosiakixさん、skknさんと話を色々しました
Aireさんには私が深秋音祭で感じた空気感をこのDramaHallでならば生みだせるのではないか?という思いを伝え、Aireさんにもその感覚は解りますしそれが出来る劇場だと思いますといった話を聴きました
ただこの時はコメディアスさんとして現実で上演するお芝居を準備中であることなどもあり、将来的にここでお芝居をしてみたいですねということで終わりました

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その後私がしばらくVRChatを離れていたこともありコメディアスさんにしてもDramaHallにしても情報がないまま過ごしていました
そして2021年5/1に突然TwitterからDramaHallでお芝居を上演するにあたって会場の負荷テストを行いますという投稿を見ることになります
会場の負荷テストとはVRChatでイベントを開催する場合に会場となるWorldに実際に観客を入れてみて負荷などを含めて環境を確認するものです
この時には更にその状態でコメディアスのみなさんが上演するお芝居の一幕を演じてくれたりもしました
私はあくまで負荷テストの一員としてたまたまその会場でVRChatで一緒にイベントをやっていた友人たちと会ったこともありイベントの思い出話をしたりして楽しんでいました
そんな中会場の負荷軽減のためにアバターを軽量化されたものに着替えてくださいというアナウンスがありました
その内容が友人たちとイベントの話をしてたのもあり気になった私はAireさんのところへ顔を出してアドバイスをしてしまいました
考えてみれば既に動き出しているイベントで横から偉そうにアドバイスをするとか恥ずかしい行為なのですが、友人たちにも確認したところそういったイベント開催の知見というのは思いの他共有されていないということだったので一点だけという感じで伝えさせてもらいました
結果的に負荷テストは参加されていた方の協力もあり無事終了し、お芝居の一幕を観られたことからの期待感も重なり楽しい出来事で終わりました

その後私自身が久しぶりにイベントを開催する準備を進めていたこともありそのまま終わるつもりではあったのですが、AireさんにはVRChatでイベントを開催する知見を共有する機会があればという申し出はしていました
Aireさんはその時既にお芝居の準備や稽古が進んでいたのもあり中々時間が取れないということだったので、知見は文章でまとめて共有する形にさせて貰いました
そしてその知見共有後にAireさんから改めて今回のお芝居の上演のため当日の運営のお手伝いを依頼されたのです
今回はあくまで観客として観劇出来たらいいなと思っていたので正直これは驚きでありそして嬉しくもありました
そこから運営に関わらせていただくことになりました

参加して驚いたのは(良く考えれば実際に現実で活動している劇団なので当たり前なのですが)スタッフの仕事がきちんと分業化されて運営されていることでした
(VRChatでのイベントは割と場当たり的に人を集めて対応することが多いので、きちんとその役割を専任でこなす人がいることが珍しい)
そんな驚きもあったのではじめは大人しくあくまで当日の運営のサポートをするだけのつもりだった訳ですが、開催するのが勝手知ったるVRChatなのもあり広報などにも色々提案したりしてかなりご迷惑をおかけしてしまったかもしれません
更には私のイベントの告知を兼ねて登壇予定だった「XRミーティング2021/5/19」で宣伝を入れたり、忙しいAireさんに宣伝と称して自身のイベント「VRChat Meetup #5 」に参加をお願いしたりとお騒がせをしてしまいました

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私はそんな状態でしたがAireさんをはじめとした劇団の方々とTosiakixさんをはじめとしたVRChatの方々の頑張りもあって公演当日を迎えることが出来ました
当日は直前に最終通しリハーサルと運営面などの確認を行って本番を迎えることになっていました
実はこのリハーサル時まで実際のお芝居を観ていなかったのですが(原作のさとださん漫画は読んではいました)通しで観たお芝居は最後のシーンで「うっ…」と来るくらい素晴らしいものでありました
そもそも持っていた劇場の雰囲気、役者さんの演技、劇場の大道具や小道具、あてられた音楽やSE、全てがあわさって本当に私の大好きなお芝居がそこにありました

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現実でお芝居を観に行くという行為はまずそのお芝居の情報を手に入れて内容や役者に想像を膨らませワクワクし、次にチケットを手に入れるために奮闘し、チケットを手に入れた後はその日の予定を立て、当日を迎えて劇場に出掛け、ようやく劇場の席に着く訳です
そして当然ながら劇団の方はお芝居の構想を練り、台本を書き上げ、配役や劇場を決め、稽古を行いつつ公演本番を迎えるているのだと思います
観客としては数時間の体験のため、劇団としては訪れる大勢の観客全員のためとその内容こそ違いますが実は多くの手順を踏んでいる訳です
このことが劇場のあの空気感を生み出しているのだと思います
それがこの時のVR上にも再現されていたと感じました

VR上でお芝居を上演することはまだまだ色々制約もありますし難しい部分も数多くあると思います
ただ現実ではなくVRだからこそ出来る演出や試みもある訳です
2021年6月現在現実の世界では置かれた状況もあり劇場に直接足を運んでお芝居を楽しむということはまだまだ難しいです
そんな中オンラインでのお芝居も数多く上演されてきました
自宅から劇場に足を運ばずに観劇出来るオンラインのお芝居はそれはそれとして大変魅力のあるものだとは思います
ですが自宅と言う現実の生活と地続きの場所で観るオンラインのお芝居は残念ながら劇場の開演前の雰囲気、観客席の緊張感とワクワク感、役者さんのお芝居の熱気、観客の興奮までは中々運んではくれません
これが昨晩のDramaHallと呼ばれる劇場には存在した様に感じました
上演後のTwitter投稿にはそういった文言が並んでいました
ただ現在のVRChatというプラットフォームにはまだ制限があり、限られた人数しか劇場に直接足を運んでいただけないことが残念ではあります
(当日はおかげさまで想定していた定員以上にDramaHallで観劇していただきました、ありがとうございます)

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コメディアスさんの劇団としての活動も劇場としてのDramaHallの企画も当然ながらこれからも続いていくと思います
個人的に今回のお芝居の上演に関われたことを大変嬉しく思っています
貴重な機会に声を掛けてくれた関係者のみなさま本当にありがとうございました
そのお礼にもならないかもしれませんが今回のお芝居が生まれた始まりを書かせて貰いました
最後まで読んでいただいた方には感謝を!