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英語教育 私の「思想」

今までに出した本の「はじめに」に私の「思想」「哲学」が出ているので,ここにそのすべてを公開する。

まずは『英文法基礎10題ドリル』から。

「なぜ英語に,そして勉強に苦手意識があるのですか」 あるとき,自分の教えている予備校の教室で,大勢の生徒にこのような質問をしてみました。生徒同士で話し合ってもらうと,「正解できないから楽しくない」「ノートがバツばかりになると気が滅入って,やる気がなくなる」という意見がまとまりました。そこで,本書では〈たくさん正解できてうれしい,たのしい〉〈きちんとした実力が身につく〉の両立を目指しました。

「4技能(読む,書く,聞く,話す)」の習得が必要不可欠だという声が日増しに大きくなっている昨今ですが,これらを身につけるための土台となるのが英文法です。英文法の基礎が頭に入っていないと(もっと言うと,体に染みついていないと),英語を正しく読むことも書くことも聞くことも話すこともできません。本書では「10 題ドリル」という形式で英文法のエッセンスが体得できるようになっています。

本来,学校英語,受験英語,実用英語などという区別はありません。英語は英語,英文法は英文法ですから,本書は高校生,受験生のみならず,英文法の土台を築きたい,再構築したいと考えているすべての方にご活用いただけたらと思います。

本書は多くの方の支えがあって完成しました。竹岡広信先生には原稿段階で詳細にチェックをしていただき,多くのご助言をいただきました。まるで卒業論文の「指導教官」のようなご指導をいただきました。関根洋先生,服部道忠先生,清野晶先生,篠宮雄輝さんからも有益なアドバイスをいただきました。Twitter 等で交流させていただいている諸先生方からの直接・間接のご指導も,本書の執筆には欠かせないものでした。企画段階では鈴木初日さんにご協力をいただきました。各教室で出会った生徒の皆さんからは英語学習に関する率直なご意見をたくさん聞かせていただきました。著者紹介イラストは DYNA さん,挿絵はあっこさんにお願いしました。また,駿台文庫・遠藤和絵さんの献身的で忍耐強く,細やかなお仕事がなければこの本は世に出ていなかったことでしょう。皆様に心から感謝を申し上げます。

もとより,本書の至らぬところはすべて著者である田中の責任です。お気づきの点がございましたら,ご意見をお寄せいただければ幸いです。

2018 年 春
田中 健一

次に『英文法入門10題ドリル』

本書は,皆さんが英語を好きになる,英語ができるようになることを願って書きました。

前著『英文法基礎 10 題ドリル』はサッカーにたとえると,「パス練習,シュート練習」にあたります。本書『英文法入門 10 題ドリル』は正確なパスやシュートをするための「ボールを止める,蹴る」技術を反復練習によって習得するドリルです。つまり,英語を「読む,書く,聞く,話す」上で必要不可欠な知識を頭で理解し,体に覚えさせるのを目的とした問題集なのです。

『英文法 10 題ドリル』シリーズの特長は次の2点です。

1.たくさん正解できてうれしい,たのしい
 たのしいことなら続けられます。勉強を続けられるようにするには,たのしくすればよいのです。私は,勉強がたのしくなるポイントのひとつは,正解できることだと考えています(バツばかりだと気分が悪くなり,やる気がなくなりますよね)。『英文法 10 題ドリル』シリーズではたくさん赤マルが付くように問題の形式・配列を工夫しています。

2.きちんとした実力が身につく
 『英文法入門 10 題ドリル』では初歩の初歩から始めて(例題),最終的には入試問題を素材とした問題に挑戦します(EXERCISES B)。勉強の初期段階から大学入試レベルの英文に触れることで,最短期間でそのレベルに到達することを目指しています。本書で英語が得意になることが皆さんの願い,それが私の願いでもあります。使われている単語の難しさにびっくりする人がいるかもしれませんが(詳しい注を付けてあるので大丈夫です。),これは,今後皆さんが英単語帳などに取り組むときに「あ,この単語見たことあるぞ」となることを狙っています。見たことのある単語は覚えやすくなるからです。

本書の執筆にあたっては,本当に多くの先生方にお世話になりました(巻末に「謝辞」を掲載しております)。もとより,本書の至らぬところはすべて著者である田中の責任です。お気づきの点がございましたら,ご意見をお寄せいただければ幸いです。

2019 年3月
長岡京にて 田中 健一

そして新刊『英文読解入門10題ドリル』(11月中旬発売予定)。

この本は「英文を読んで理解できるようになりたい」と願うすべての人のために作りました。

私の授業では頻繁に「短文和訳」の小テストを実施しています。毎年膨大な数の答案を採点する中で,英語をきちんと読めていない人には共通する特徴があることに気付きました。

まずは,文の骨格である「主語-動詞」を意識せずに,特に主語の扱いをおろそかにして,なんとなくふわふわと読んでしまっていることです。例えば,次の英文の意味を考えてみてください。毎年春の初回授業で出す問題です。

To tell the truth, it does not always pay to tell the truth.

次のような誤答がたくさん出てきます。

【誤】「実を言うと,いつも本当のことを言うわけではない」

主語を発見し,そこに「は/が」を付けるという基本ルールを守ればこの訳にはならないはずです(正しい和訳と解説は 70 ページ)。主語を見つけ,それに対応する(述語)動詞と合わせて「何は[が]どうする」「何は[が]どんなだ」と読むことが英文読解の大切な手順です。本書ではこれを「10 題ドリル」形式で徹底的に練習します。

次に,「文型」を分析する意味を理解していないケースがあります。本来はあり得ないことなのですが,英文の下に S,V,O,C などの記号を正しく書いているのに完全な誤訳をしてしまう人がいます。
例えば,次のような事例です。

You(S) will find(V) this book(O) easy(C).
【誤】あなたはこの本を簡単に見つけるだろう。

これは,各文型の「基本訳」を覚えていないことが原因です(正しい和訳と解説は 44 ページ)。これも本書では「10 題ドリル」形式で徹底的に練習します。

今回も駿台文庫の遠藤和絵さんには最初から最後まで大変お世話になりました。竹岡広信先生からは厳しくも温かいご指摘・ご助言を多数いただきました。また,執筆にあたっては伊藤和夫師をはじめとする,これまでの英語教育を支えてきた偉大な先生方のご著書を参考にさせていただきました。現在の英語教育を支える学校や塾・予備校などの先生方からもたくさん学ばせていただいています。皆様に心から感謝申し上げます。

2020 年 10 月5日
田中 健一

英文読解入門10題ドリルアイコン

DMMオンラインサロン「田中健一 英語道場」で日々勉強会をしています。

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