クリスマス小話(2)三人の訪問者

東方の三博士がイエス様を礼拝したときのお話です。(東方の三博士がイエス様を礼拝したのがイエス様が公に現れた、いわばメジャーデビューされたとき、とされます。これを「公現」そのお祝いが「公現節」です。)

冬の寒い夜でした。
私がそろそろ戸締りしようと外に出たとき、馬に乗った立派な身なりの三人の方がいらっしゃいました。ちょっと珍しい服装でしたが、身分のある方と一目でわかりました。
「奥さん、申し訳ありませんが、馬に水を頂けませんか、私たちにも一杯。」
「旦那様方、こんな寒い日に、ずいぶん遠くからおいでのようですね。さあどうぞ。でもどちらまでいらっしゃるので?」
「ええ、ベツレヘムまで参ります。」
「ベツレヘムはもうすぐですけど、最近は皇帝さまのお触れで、住民登録をする人でごった返していますよ。宿屋なんかみんな満員御礼で。
もう夜も更けたことですし、よかったら、今夜はうちでお泊りになって、明日ベツレヘムにいらっしゃったらいかがですか。」
「奥さん。ご親切ありがとうございます。でも私たちの旅ももうすぐ終わりで、先を急ぎますので。」
「でもベツレヘムでは本当に宿はありませんよ。知り合いの宿屋のおかみさんに聞いたんですけど、ついこの間、若夫婦が来られて、奥さんはもうすぐ赤ちゃんが生まれるというのに、部屋がなくて、馬小屋に泊まって、その夜に急に産気づいたそうですよ。 ちょうどやってきた羊飼いの衆に頼んで『やれ産婆さん呼んで!』『それお湯沸かして!』って大騒ぎだったとか。」
三人の旦那様たちは、顔を見合わせました。
「それでどうなりました。赤ちゃんは無事で?」
「ええ、もう玉のようなかわいい赤ちゃんで、飼い葉桶に寝かせるしかなかったんですけど、まあ気の毒というか喜ばしいというか・・」
旦那様たちはそれだけ聞くと馬にまたがりました。
「奥さん、本当にご親切にありがとうございます。私たちはこれで失礼いたします。」
そして、ベツレヘムへの道を早足で駆けていらっしゃいました。
(マタイの福音書第2章1節から12節より)

(注)
このブログは、虎猫が東京カベナント教会のブログ「重荷をおろして」に掲載していたものです。クリスマスのこの時期に改めて掲載いたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?