![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/101710488/rectangle_large_type_2_2f8292e8bd0430b30f26c4def3127ba3.jpeg?width=1200)
手元を離れたプロダクトが予想もしなかった機会を持ってきてくれる話
こんにちは、DeployGateの藤﨑です。
ソフトウェアでもハードウェアでも、はたまた工芸品でも、料理でも、プロダクト作りに携わる方は、自分の手を離れたプロダクトが新しい機会を持ってきてくれる、という機会に恵まれたことがあるかもしれません。
私自身も、自分が作ったソフトウェアで自分の人生を大きく変えられてきました。この会社を立ち上げることになったのもそうですし、元はといえば大学に入学したきっかけも、自分が作り出したプロダクト経由で所属したコミュニティがきっかけでした。
プロダクトというものは、往々にして作っている人の想像を超えた場所や機会で評価されることがあります。
最近Twitterで見かけた、廃棄するはずの不良品が第三者によってその価値を見直され、新たな形で発売されることになったという出来事もその一例です。
国産の爪楊枝は高い品質を持っていますが、製造段階においては規格外れの不良品も出ます。国産の爪楊枝屋さんが、大量に出てしまった不良品についてツイートしたところ、ネイルやステンドグラス、レジン制作といったアーティストの方や、宝石の検品、微生物を使う実験などなど、あらゆる場面で活用するために「欲しい」という方が集まりました。
ここのリプ欄や引用RT見てほんまに感動してる🥹
— 菊水産業株式会社【公式】(国産つまようじ屋) (@kikusui_sangyo) March 23, 2023
こんな活用方法があるのか、こういう風に使ってくれてるのかと🥹弊社の爪楊枝じゃなくてもめちゃくちゃ嬉しい🥲
廃棄されそうな爪楊枝についてこんなに考えてくれる人達がいるTwitterの優しい世界🥹
北海道の白樺から製造してる日本製です。 https://t.co/GdDFhhi2bC
これらは、品質の高い爪楊枝を製造することを大事にしている立場からすると、まったく想像の外にある機会です。違う立場の人々の解釈を経た結果、本来廃棄となる爪楊枝に新しい価値が見いだされ、活路が生まれました。この「元」不良品の爪楊枝を使って生みだされた新しいプロダクトからも、更にストーリーは続いていきそうです。
プロダクトは、新しい機会だけでなく、感謝や生きがいをもたらしてくれることもあります。
これはだいぶ昔にテレビで見た話で出典が見当たらないのですが、ある障害者施設の子供達がハンドベルを演奏するイベントがありました。ハンドベルは銅と錫でできた繊細な楽器で、手の水分や油が付いてしまうとそこから酸化が進み音色に影響が出てしまうため、必ず手袋を使う必要があります。その子供達は大人用の手袋で演奏を練習していたのですが、これが子供の小さい手には使いづらく負担となっていました。
その番組では手袋の工場を訪れ、子供達が演奏している映像を工場の人に見せました。工場の人は「この子たちぐらいの手だったら、手袋にこういう加工をしてやったほうがいい」と、子供サイズの手袋にさらに加工を加えたものを特別に制作しました。新しい手袋を渡されて、これは演奏しやすいとはしゃいで喜ぶ子供達。ありがとうと感謝の言葉を伝えてくれる子供達の映像を見て、工場の人は「これまでたくさんの手袋を作ってきたが、使われているところを間近に見たことはなかった。こんなに喜んでくれて嬉しい」と、涙ながらに喜びます。
工場で手袋を作っていた人は、映像を見ただけでどのようにすると使いやすくできるかを解像度高く想像することができます。一方で、作っている手袋がいつどのように使われているのかを見ることができる機会はなかなかなく、さらにそれがどのような感情を生み出しているのか知れる機会はほとんどありません。反対に、手袋を使う側としても、ともすれば大量生産されている品に対して、これを自分達のために作ってくれた人がいる、なんてことを意識する機会はありません。
手袋のような物理的なプロダクトでは、一度手元を離れてしまったが最後、この番組のように誰かが意図的に仲介してくれない限り、こんな機会を作り出すことは難しいかもしれません。
しかし、インターネット経由して提供されるサービスやソフトウェアあれば、この機会を作ることは本来簡単にできるはずです。
自分達が生み出したプロダクトが、想像もできない新しい機会や、感謝や、生きがいを持ってきてくれる。DeployGateでは、そんな機会をどんな規模のプロダクト開発チームも当たり前に持てるような世界を目指しています。
先々月に書いた、作る人と使う人の間に誰かを挟んではいけないといった話も含め、実際にプロダクトを使っているユーザー自身と、プロダクトを開発している開発チームが、創発的に価値を生み出していく世界を当たり前にできれば、世界はもっと楽しくなると信じています。
最後だいぶ自由に思いの丈を語ってしまいましたが、今月はそんな感じで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?