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安楽死制度を求めていくために必要な3つの要素~安楽死制度を議論するための手引き02(第4部)

論点:患者の自己決定権は、十分に保護されているといえるか?

 さて、今回は「患者の権利法」について。

 僕が前回までお話していた、「安楽死制度を求めるために必要な3つの要素」。覚えていますか?

①緩和ケアの発展と均てん化
②医療の民主化
③患者の権利法

でしたね。今日はいよいよその最後になります。

「患者の自己決定権」は保証されているか

 僕は、前回の「医療の民主化」の項で、安楽死制度が運用されるようになるためには、最低限、国民全体における自己主導型知性の獲得が必要、という話をしました。
 いま安楽死制度が始まってしまったら、よく批判される日本民族の特徴「同調圧力」によって、本来死を選択するつもりがなかった人が、死に追いやられてしまうおそれがある。そうならないよう、周囲の意見や状況に関わらず、患者自身が自らの生き方を主体的に決めていくことが当たり前という知性を獲得していく必要がある、ということです。
 しかし一方で、そのように患者が「自らの生き方を自ら決める」ことが当たり前になったとしても、その決定を誰が守ってくれるのでしょうか?現時点では、患者本人の決定を法的に保護するものは存在しないのです。
 もちろん、憲法第13条に「個人の尊重と公共の福祉」が掲げられ、「すべて国民は、個人として尊重される」とされているので、一般的に医療現場においても患者の自己決定権は尊重されるべきものとされているのは事実です。

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