北海道と沖縄を舞台に日越の国境を超えた恋愛映画続々
昨年2月、映画の撮影コーディネートを承った。題名は「クジラの島の忘れもの」。沖縄のIT企業に勤めるベトナム人男性と阪神大震災で母を失った女性との恋愛映画だ。映画の舞台は沖縄の座間味島。ベトナム人男性の出身地が「ダナン」という設定で、ベトナムでの撮影が敢行された。
主演に宮本亜門演出の舞台「ライ王のテラス」にも出演した若手女優の大野いと、ベトナム人男性役はスピルバーグ監督の映画「レディ・プレイヤー・ワン」で準主役となる森崎ウィンがつとめる。制作はベトナムのコンサルティング会社・ブレインワークス(日本)だ。
4日間の撮影だったが、天候にも恵まれ、撮影も順調にすすんだ。事前のロケハンはなく、監督のイメージするロケーションをその場で提案し、撮影した。屋内の撮影では現地の映画機材会社から4名のガッファー(照明係)がきて手伝ってくれた。経験豊かな彼らは言葉の壁がありつつも撮影監督の意図をよく汲み取って十二分の働きを見せてくれた。
本作は5月12日から東京・渋谷シネパレスを皮切りに全国上映が決まっている。
期せずして日越男女のラブストーリー映画がこの6月1日にベトナム全国で上映される。邦題は「目を閉じれば夏が見える」(原題"Nhắm Mắt Thấy Mùa Hè)。本作は北海道東川町で撮影され、この4月にはロケが行われた東川町と東京で試写上映された。
撮影に訪れた東川に魅せられ、居着いてしまった父を探しに訪れたベトナム女性ハー(フォン・アイン・ダオ)と、記憶障害に苦しむ写真家アキラ(阿久津貴文)との言語、文化を超えた愛を描いた。カオ・トゥイ・ニー、若手女性監督がメガホンをとっている。北海道を舞台に「セックス、スター、コメディなし」の映画がベトナムの若者に受けるか、注目しよう。
計らずも日本の北海道と沖縄を舞台にした日越カップルの恋の行方は映画を見てのお楽しみだ。
映画「クジラの島の忘れもの」http://kujiranoshima.com/
映画「目を閉じれば夏が見える」
https://www.facebook.com/nhammatthaymuahe/)
日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2018年5月号掲載