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ハノイのタクシー運転手に法輪功を薦められた話

 タクシーに乗ってドライバーと世間話をしていると、おもむろに「最近背中が痛かったのだが、これをやったら痛みが治ったんだよ。お客さんも身体に不調があるんだったらやってみなよ、すぐ治るよ」とA4四つ折りのパンフレットを渡された。私は気にも留めずに受け取り、会社に戻ってからそれをよく見た。パンフレットには”Pháp Luân Công”とある。そう法輪功の宣伝パンフだったのだ。

 法輪功はご存知の通り中国の気候集団であり、吉林省の李洪志が系統化し中国全土に広まった。一時は7千万人を超える信者がいたとされるが、1999年に中国政府から弾圧を受け、李洪志は米国に亡命。現在は、中国共産党・政府への批判を強め、反体制的な立場をとり、「大紀元」他多くの反中国メディアを世界中で展開している。

 Đại Kỷ Nguyênというベトナム語ニュースサイトがある。明らかに法輪功の運営するサイトだが、アクセス数はベトナム語ニュースサイトのトップクラスだ。その反中的な報道姿勢が好まれて広く読まれているようだ。法輪功のベトナム社会への浸透は我々が思っている以上に深刻だと言える。

 ハノイの街の朝の風物詩としておばさんたちの街頭エアロビダンスがよくテレビなどで紹介されるが、その中に法輪功を修練する人たちが紛れているという噂もある。実態は不明だが、たまたま乗車したタクシー・ドライバーも「布教」に熱心だとなると、想像以上に普及しているのかもしれない。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2020年


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